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2023 Fiscal Year Research-status Report

現代ロシア文学・美術・舞台芸術の交差に関する文化史的研究

Research Project

Project/Area Number 21K00425
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

鴻野 わか菜  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50359593)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywordsロシア文学 / ロシア美術 / ウクライナ美術 / ロシア文化 / 現代美術
Outline of Annual Research Achievements

ロシア現代美術についての著書の執筆のために大部分の時間を充てた。2024年5月現在、再校を進めており、五柳書院より出版される。文化も国家の重要課題であるとされたソ連では、公認作家が手厚く保護される一方で、非公認作家は厳しい統制下に置かれた。一方、新生ロシアでは、検閲はいったん弱まったが、美術界や出版界にも市場原理が適応され、文化は他の娯楽やメディアとの競争にさらされることになった。この新しい状況下で、文化はいかに「生きのびよう」としたかについて問うことが本書の主題である。
一章の歴史篇では、ソ連崩壊前後から現在に至るロシア現代美術の30年余を、新生ロシアにおける美術の「サバイバル」のプロセス、ギャラリーや国際ビエンナーレの誕生、パフォーマンスアートの展開、ヨーロッパ最大の芸術公園ニコラ・レヴィネツにおけるサイトスペシフィックアートの取り組み、エカテリンブルク、ウラジオストク、ダゲスタンなどの各地域における現代アートの隆盛、検閲と統制の動向、戦争への反応などを軸に考察した。
二章の主題篇では、ソ連崩壊を体験した現代ロシア文化全体の問題である「過去へのまなざし」、ノスタルジー、国家の表象、ロシア美術におけるジェンダーやセクシュアリティ、コロナ期のアート、ウクライナ侵攻期の美術について検討している。また、ロシア文化の主要な特徴であるユートピア、宇宙への志向について、文学、思想とも比較しながら考察した。
三章の作家篇では、都市の写真を通じてロシア社会の変化を照射するイーゴリ・ムーヒンの作品、共生と宇宙を主題とするレオニート・チシコフ、自然と人間の関係を模索し、南極で世界初の国際芸術祭を開催したアレクサンドル・ポノマリョフ、ロシア・アヴァンギャルドの伝統を継承するウラジーミル・ナセトキンらの作品をとりあげた。

20世紀初頭のロシア象徴主義・モダニズム文学についての研究も進め、論考を発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

著書『生きのびるためのアート――現代ロシア美術』を脱稿し、今後の課題も明らかとなった。今後は、ロシア現代美術と文学の相関関係の研究を続けつつ、ロシア現代詩、ウクライナ現代美術にも重点を置いて研究を進める予定である。

Strategy for Future Research Activity

ロシア現代詩と現代美術の研究と成果発表として、ウラジーミル・ナセトキンの展覧会を企画する予定である。また、現代詩研究については、文献の調査・研究を進め、単著にまとめたいと考えている。
現代美術の研究においては、研究対象である作家(ニキータ・カダン、ターニャ・バダニナ、エカテリーナ・ムロムツェワ 、レオニート ・チシコフ)が参加する芸術祭・展覧会の調査、ならびに作家への聞き取り調査を実施する。
レオニート ・チシコフと共に作品を制作してきた児童文化作家マリーナ・モスクヴィナには、文献読解の補助を依頼して承諾されており、共同討議を行う予定である。

Causes of Carryover

戦争の影響でロシア、ウクライナでの調査ができなかったため。

  • Research Products

    (17 results)

All 2024 2023 Other

All Int'l Joint Research (3 results) Journal Article (9 results) Presentation (2 results) Remarks (3 results)

  • [Int'l Joint Research] ヴォローシン・ギャラリー(ニキータ・カダン)(ウクライナ)

    • Country Name
      UKRAINE
    • Counterpart Institution
      ヴォローシン・ギャラリー(ニキータ・カダン)
  • [Int'l Joint Research] ロシア人文大学(ロシア連邦)

    • Country Name
      RUSSIA FEDERATION
    • Counterpart Institution
      ロシア人文大学
  • [Int'l Joint Research] 美術アカデミー(ベラルーシ)

    • Country Name
      BELARUS
    • Counterpart Institution
      美術アカデミー
  • [Journal Article] ロシア歌曲を読むXIII アンドレイ・ベールイ「墓碑銘(黄金の輝きを信じた)」2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      日本アレンスキー協会会報

      Volume: 25 Pages: 6-7

  • [Journal Article] 南極ビエンナーレの未来2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      P2P

      Volume: 0 Pages: 115-127

  • [Journal Article] イリヤ・カバコフの生涯2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      ユーラシア研究

      Volume: 68 Pages: 3-37

  • [Journal Article] 戦争中も文化は続く。ウクライナの作家ニキータ・カダンの軌跡【シリーズ】ウクライナ侵攻から2年、アーティストのいま(1)2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      Tokyo Art Beat

      Volume: - Pages: -

  • [Journal Article] プーチン体制の下、反戦を訴える。ロシア人作家パーヴェル・オジェリノフ【シリーズ】ウクライナ侵攻から2年、アーティストのいま(2)2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      Tokyo Art Beat

      Volume: - Pages: -

  • [Journal Article] ふたつの戦争のはざまで。ロシア系ユダヤ人作家ハイム・ソコルの現在【シリーズ】ウクライナ侵攻から2年、アーティストのいま(3)2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      Tokyo Art Beat

      Volume: - Pages: -

  • [Journal Article] 「ニキータ・カダン」「Open Group」「タウス・マハチェワ」2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      美術手帖

      Volume: 76/1101 Pages: 108-112

  • [Journal Article] 展覧会に寄せて2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      「柳澤紀子:Words Spoken by Animals」展リーフレット

      Volume: - Pages: -

  • [Journal Article] ロシア歌曲を読むXII イワン・ブーニン「ぼくはまた一人だ」「夜は悲しい」2023

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Journal Title

      日本アレンスキー協会会報

      Volume: 24 Pages: 6-7

  • [Presentation] ウクライナの現代美術2024

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Organizer
      シンポジウム「ウクライナ文化の挑戦――激動の時代を越えて」
  • [Presentation] 戦争と現代アート ウクライナとロシア2023

    • Author(s)
      鴻野わか菜
    • Organizer
      セミナー「ウクライナ戦争におけるアートとは? 文学とは?」
  • [Remarks] ふたつの戦争のはざまで。ロシア系ユダヤ人作家ハイム・ソコルの現在

    • URL

      https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/haim-sokol-insight-202402

  • [Remarks] プーチン体制の下、反戦を訴える。ロシア人作家パーヴェル・オジェリノフ

    • URL

      https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/pavel-otdelnov-insight-202402

  • [Remarks] 戦争中も文化は続く。ウクライナの作家ニキータ・カダンの軌跡

    • URL

      https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/nikita-kadan-insight-202402

URL: 

Published: 2024-12-25  

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