2021 Fiscal Year Research-status Report
ブラジルのマイノリティ文学における複合性:交差する人種・ジェンダー・クラス
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21K00432
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
武田 千香 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20345317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 佳子 常葉大学, 外国語学部, 准教授 (40766507)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ブラジル文学 / マイノリティ文学文学 / 黒人文学 / 女性文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の武田千香、分担者の江口佳子、協力者宮入亮および佐藤椋にもう一人協力者に菊池豪人を加え、以下のとおり実施した。 (1)計画通りブラジルの黒人文学、女性文学、貧困者文学、性的マイノリティ文学について研究し、その成果を研究会で報告した。①それぞれの文学について成り立ちと現状を概観し、基礎的な知識を獲得した。②黒人文学、女性文学、貧困者文学はそれぞれが複合的に絡み合い、とくに黒人女性の場合は顕著である。③貧困者は富裕になりその境遇から脱出できるが、黒人や女性は、基本的に生涯それを生来の属性として背負っていく。同じ「マイノリティ文学」として扱うことの是非や関係について引き続き研究する。【研究会】①ブラジルにおける黒人文学(武田)、ブラジルの女性文学1(江口)(7月17日)②「貧困者の文学」(宮入)、「ブラジルのゲイ文学」(佐藤)(9月25日)③ブラジルの女性文学2(江口)、モデルニズモ文学における黒人描写(菊池)(11月24日)④研究書講読(1月22日)⑤コンセイサォン・エヴァリストの文学(武田)、貧困者の文学2(宮入)(3月25日) (2)計画通り国際研究会を1回開催したほか、公開講演会を1回実施した:【国際研究会】「A literatura de autoria negra no Brasil: Uma introducao(ブラジルにおける黒人作家文学入門」講師:エンヒッキ・マルケス・サミン氏(リオデジャネイロ州立大学教授)(8月27日)【講演会】「ブラジルのユダヤ人プレゼンス:その略史と現状」講師:岸和田仁氏。マイノリティであるユダヤ人が、出版や医療など多様な分野でパイオニアを輩出し、現代ブラジル社会に強大な影響を及ぼしていることが確認された。 (3)研究成果として論文1本、研究ノート(発表予定)1本、国際学会報告1回、招待講演1回、国内学会報告1回を実施した(全員分)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①計画にあった黒人文学、女性文学、貧困者文学のほか、ゲイ文学について、ブラジルにおけるそれらの成り立ちや現状を確認することができた。 ②これらの複合的な絡み合いについても確認することができた。 ③研究会を計画どおり、国際的なものも含め実施することができた。むしろ計画になかったユダヤ系移民の文化・文学への貢献に関する講演会も催すことができた。 ④成果を国内外の学会で報告したほか、論文等にもまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①個別カテゴリー研究を引き続き行い、とくに次のことを実施する。《黒人文学》ブラジルの現代文学を代表するアフリカにもルーツを持つイタマール・ヴィエイラ・ジュニオールの研究および小説『曲がった鋤』の翻訳を行い、出版する。《女性文学》ブラジルの女性文学を代表する作家リジア・ファグンジス・テーリスの研究および小説『女の子たち』の翻訳を行い、出版する。 ②新たに移民文学研究にも着手し、日系人作家オスカール・ナカザトの研究および小説『ニホンジン』の翻訳を行い、出版する。 ③比較研究(黒人文学・女性文学・貧困者文学・ゲイ文学についてブラジルと北米と比較)に着手する。 ④インディオ文学研究に向けて、ブラジル文学におけるインディオについて扱われ方をモデルニズモの時代を中心に黒人と比較する。 ⑤研究テーマに関する講演会を開催するほか、研究会を随時開催し、研究の結果を報告する。研究会のうち最低1度は国際研究会とする。このほかペルナンブコ連邦大学、ブラジリア大学、サンパウロ大学などブラジル(レシフェ、サンパウロ、ブラジリアなど)の大学や研究所において現地調査および資料収集を行う。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた文献が入手不可能であることが年度末近くになって判明したため
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Research Products
(3 results)