2021 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮総督府『俚謡・俚諺及通俗的読物等調査』の朝鮮のことわざに関する研究
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21K00461
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鄭 芝淑 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (20452211)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 俚諺 / ことわざ / 朝鮮総督府 / 民俗資料報告書 / 朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、朝鮮総督府が設立当初から朝鮮全土にわたって民俗学的調査を実施して作成した朝鮮民俗資料報告書『俚謡・俚諺及通俗的読物等調査』13冊(韓国国立民俗博物館所蔵)の中に収録されている朝鮮のことわざについて分析を行うものである。当時の朝鮮のことわざの実態を知るための貴重な資料となり得るにもかかわらず、総督府が行った調査であるためか、報告書の存在は知られていてもその内容の分析はほとんど行われていないのが実情である。 初年度は、まず、調査報告書の記述前半に目を通し、調査方法や調査時期、報告形式などの記述に関して検討し、この調査と関連があると思われる内外の朝鮮総督府関連資料を入手し検討を加えることができた。 次いで、本研究の分析資料の中核となる、総督府調査報告書に収録された朝鮮のことわざのデータベース作成のための入力作業を進めた。朝鮮の13の地域から寄せられた報告は、その表題も統一されておらず、収集収録形式も分量も様々で、ことわざの表記の仕方に関しては、日本語、ハングル、日本語ハングル混在型などと様々である。これまで、報告書全13冊のうち、10冊目の慶尚南道篇と11冊目の慶尚北道篇に収められたことわざの入力が終わっている。これらの資料は他の地域に比べて収録されたことわざの件数が少ないことと、郡ごとではなく、道ごとにまとめられていることが特徴であった。地域によっては膨大な量の資料が収録されているところもあるため、それらを中心に、残る資料を体系的に分析を進めて行くことが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた朝鮮総督府関連の資料を調べることができ、またことわざの入力作業も順調に進めることができた。最初に入力を終えた地域である慶尚南道と慶尚北道については分析を済ませ、その結果をまとめている状況である。朝鮮総督府の朝鮮民俗資料報告書と同時期に刊行された朝鮮ことわざ集3点に収められたことわざも入力を済ませている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、まず入力が終わった10冊目の慶尚南道篇と11冊目の慶尚北道篇のことわざの分析結果について、学会(①ことわざ学会と②日本ことわざ文化学会)で口頭発表を行い、論文作成にあたる。さらに、まだ手を付けていない他の地域のことわざの入力および分析を行う予定である。中でもことわざの件数が最も多い京畿道篇のことわざ資料の分析を中心に進める予定である。それと並行して、朝鮮総督府の朝鮮民俗資料報告書と同時期に刊行された朝鮮ことわざ集3点(髙橋亨が1910年と1914年に刊行した2種のことわざ集、朝鮮総督府から1926年に刊行した『朝鮮民俗資料第三編朝鮮俚諺集』)との関連性も分析していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により調査のための出張が出来なくなり、また、アルバイトの雇い入れが困難になったため、当初予定していた旅費、人件費、物品購入費が消化できなかった。これらは、同じ費目で次年度に消化することにする。
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