2021 Fiscal Year Research-status Report
Rhetoric and Class Struggle in Modern Japan: The Origin and Theory of Proletarian Elocution
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21K00463
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
青沼 智 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50306411)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レトリック / プロレタリア雄弁 / 日本 / 近藤栄蔵 / 無産政党 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目論見は、「プロレタリア雄弁」という知られざる言語芸術の分析を通じ、レトリック理論・レトリック史研究に新たなる争点を提示することである。具体的な目的は2点である。1つ目は、近藤栄蔵が『プロレタリア雄弁学』(1930年)で描いた「プロレタリア芸術」と「ブルジョア芸術」の相違を軸に、「持たざる者」が自ら弁士となるべしとする近代日本の「プロレタリア雄弁」のレトリックとしての特徴について考察することである。2つ目は、近代日本のレトリック研究の中、これまで光を当てられずにいた大正・昭和期の、特に大正デモクラシー以降の階級闘争の武器たる「プロレタリア雄弁」の研究を通じ、近代・現代日本における多様なレトリック実践の理論的・歴史的検討を行うことである。 令和3年度は、『プロレタリア雄弁学』が発刊された当時の歴史的文脈(共産主義・無産者政治運動を二分した「アナ・ボル論争」、共産党と袂を分かった「合法」無産政党の活動等)に関する資料収集を主に国内で実施した。具体的には、新型コロナウイルス感染状況を考慮し、当初計画していた同志社大学人文科学研究所アーカイブ(近藤栄蔵文庫)(京都府京都市)への出張調査の実施を令和3年度は行わず、資料収集を東京都内(法政大学大原社会問題研究所アーカイブおよび国立国会図書館)において行った。加えて、関連する歴史的文献(古書等)、また古典・現代レトリックの理論的枠組みに関する図書を、主にインターネット等の通信販売を利用し収集した。 なお収集した資料は、新規購入したパーソナルコンピューター(iMac)を用いてすべて整理・データベース化した。またこれらの資料は、令和4年度に開催される国内外の学術会議での研究報告において使用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染状況が当初期待していたほど収束しなかったこともあり、当初夏期に計画していた同志社大学人文科学研究所アーカイブ(近藤栄蔵文庫)(京都府京都市)への出張調査を、令和3年度は断念せざるを得なかった分、資料収集が若干滞っている。ただしそれ以外は、都内施設での資料収集やインターネット等の通信販売を利用した資料購入等、おおむね順調に進んでいる。令和4年度に開催される国内外の学術会議での研究報告論文執筆についても、既に着手している。特に、共産主義・無産者政治運動を二分した「アナ・ボル論争」を経て、『プロレタリア雄弁学』が発刊された1930年には近藤栄蔵は既に共産党を離れていたこと、つまり彼の「プロレタリア雄弁」は「合法」無産政党より普通選挙に出馬する候補の弁論のための実践理論であったことが明らかにできたのは大きな収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
・令和4年度:必要な資料を引き続き収集・整理し、「プロレタリア雄弁」のレトリック論的考察を継続する。具体的には、日本コミュニケーション学会研究大会(6月、オンライン開催)、Rhetorical Society of America研究大会(5月、ハイブリッド開催・オンライン参加)、International Society for the History of Rhetoric研究大会(8月、オランダ・ナイメーヘンにて開催)にて研究報告を行い、その後の論文出版に繋げる。加えて、前年(令和3年)度断念した同志社大学人文科学研究所アーカイブ(近藤栄蔵文庫)での出張資料調査を夏期休暇中に行う。 ・令和5年度:必要な資料をさらに収集・整理し、近代日本の「プロレタリア雄弁」のレトリックとしての特徴を総括する。加えて「プロレタリア雄弁」の原点たる「文学青年・雄弁青年」としての近藤栄蔵の米国留学生時代の学びを探るべく、米国(California Polytechnic State University, National Communication Associationアーカイブ等)での調査・資料収集を実施する(当初は前年度の令和4年に予定)。 これらの成果を国内外の学術会議にて報告し、その後の出版に繋げる。加えて、助成期間終了後できるだけ早い時期の研究書刊行を目指し、研究書の出版企画書を令和5年度内に作成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、令和3年度に計画していた同志社大学人文科学研究所アーカイブ(京都府京都市)への出張調査が実施できなかったため。新型コロナウイルス感染収束を前提に、令和4年度夏期に出張調査を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)