2023 Fiscal Year Annual Research Report
邦訳作品のアジアにおけるリンガフランカ的役割への一考察 ― 邦訳グリム童話を例に
Project/Area Number |
21K00465
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西口 拓子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00459249)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 道子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222953)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | メルヒェン / 翻訳 / グローバル / アジア / グリム童話 / 受容 / 翻訳文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
データベース用のデータのうち国立国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」の情報の拡充と収集したデータの確認を行った。国際学会にてオーストラリア、研究交流でドイツに滞在した際には、それら(登録およびパスワード入力が必要な)資料が海外からも閲覧可能であることを確認した。シドニーの学会において各国の研究者と交流する機会もあり、本研究のデータベースの海外からの利用に関しての意見交換を行った。必要な資料に辿り着くことが可能となれば、Googleレンズ等を通して日本語の資料の概要を把握することが可能であるため、アジアにおける国際的な影響関係を挿絵を手がかりとして調査する上では、本研究のデータベースの有用性は高い。データベースの最終的な確認と公開への準備を進めている。 論文のうちオープンアクセスの「翻訳文学の挿絵の系譜」は、挿絵を江戸時代からの流れでとらえつつ、邦訳が韓国で底本として使われた経緯も紹介した。2024年2月末には、ドイツでカッセル大学・ランダウ大学の研究者との研究交流を行った。研究発表は、オンライン(ZOOM)での国際学会をはじめ、シドニーでの対面の学会で実施した。その他、チューリヒ大学の研究者とともに挿絵と文学に関するシンポジウムにおいて本研究の成果を一般の聴衆に向けて発表する機会を得た。これは数カ月間無料でオンラインで配信され広く視聴に供された。翻訳底本という視座からのアジアのつながりに関しては、韓国の研究者らとZOOMでの研究交流も行った。本年度に入手した韓国の研究者による論文には、日本語の底本を参照していないために結論部に一部誤りがみられた。本研究の成果の一つである2022年の翻訳 (Rezeption der KHM in Korea am Beispiel von Tongmyong) をより広く周知させる必要があり、学会や研究交流において周知している。
|