2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K00467
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
中川 豊 中京大学, 文学部, 准教授 (20612732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 亮太 東洋大学, 文学部, 准教授 (20634538)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 賀茂真淵 / 目録 / 書誌 / 国学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近世期以前の蔵書を対象とする目録作成そのものの調査研究は、コロナウイルス拡散の不安が残っており、現地調査が困難であり思うように進んでいない。しかし、講演「真淵の書簡、真淵をかたる書簡」(国文学研究資料館創設50周年記念事業 賀茂真淵セミナー(ZOOM開催) 2021年9月)においては、真淵門人栗田土満宛真淵書簡3通(同内容書簡)を取り上げて、内容を確認しつつ、相互の関連性や成立過程を述べたもので、再検討は必要であるものの、大きな研究成果である。論文・資料紹介・講演など、全体を通して賀茂真淵、本居宣長、谷川士清など近世中・後期の人物を取り上げて、和歌史・書誌学的な面からの考察を発表した。「兵頭守敬宛谷川士清書簡について」(調査研究報告 第42号、国文学研究資料館学術資料事業部、75-87 2022年3月)においては、士清の真淵観を如実に語っている点を指摘した。士清は真淵の学識に感服して、積極的に接触を試み、学的交流を取ろうと試みている。「いづ方に住居に候や」の文面は、士清が学者真淵を発見した時期なのである。また、本書簡は『日本書紀通証』の出版経緯を伝える資料としても貴重である。さらに兵頭守敬が、有栖川宮職仁親王や荷田信舎などと結びつき、『日本書紀通証』出版にも仲介の労を執っているなど、地方の一神官としての立場を越えた、広い学識とネットワークを備えた人物と判明した点でも一定の成果は出せた思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文・資料紹介・講演の研究成果は充実しているが、賀茂の真淵記念館の目録作成についての進捗状況はやや遅れている。理由の一つはコロナウイルスの状況によるもので、公の施設に行きにくい面がある。さらに講演が3つ入ったことや、国文学研究資料館からの執筆依頼が来たことにより、そちらを優先したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ、コロナ拡散の状況が不透明であるため、賀茂真淵記念館と連絡を密にしつつも、慎重に進めていく予定である。論文や資料紹介は前年度通り進めていく。
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Causes of Carryover |
購入資料の使用額が超過したため。
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