2023 Fiscal Year Research-status Report
古代エジプト神官文字写本の地域差を含めた言語記述とⅢF検索プラットフォームの構築
Project/Area Number |
21K00472
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
永井 正勝 国立民族学博物館, デジタル・ヒューマニティーズ国立民族学博物館研究拠点, 特任教授 (70578369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 覚 東京大学, 史料編纂所, 助教 (80802743)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 記述言語学 / 古代エジプト語 / 方言 / 文字 / 表記 / ヒエラティック / デジタル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第一に、古代エジプト語の神官文字写本を対象とした言語記述の実践を行うことにある。対象資料は第19-20王朝時代の書簡とする。本年度は、対象資料の言語記述を引き続き実施した。北部地方の書簡9通(ライデン国立古代博物館所蔵 Leiden I 360~368)ならびに南部地方の書簡6通(Leiden I 369~1970, BM 10284, BM10375, BM 10100, Turin 1975)の分析を行った。北部の書簡は、召使からの書簡が7通、歌い手からの書簡が1通、家畜長からの書簡が1通であった。これらの9通の書簡の書体は、差出人が異なるにもかかわらず類似しており、まだ断定的な見解だが、限定された数の書記が代筆したものと思われる。一方、南部の書簡は、書記からの書簡が4通、将軍からの書簡が2通である。書記からの書簡については、書記ブウテハアメンの書簡が2通で、これらの書体は類似している。また書記ジェフウティメスからの書簡も2通で、これらの書簡も書体が類似している。このような書体の違いから、書記以外の人物が差出人となっている場合、代筆家が文章を執筆したことが具体的にわかる。書簡に書かれている表現については、第一に伝達内容が大きく影響しているが、その他、これも精査中であるが、地域差よりも、差出人と受取人の社会的地位が影響を与えているようである。つまり、地位の上下関係に応じて、特に挨拶文において、適切な表現が選択・採用されいていることが伺われる。 システム構築班はファセットによる絞り込み機能や各観点に基づくフィルタ機能の実装を実施するとともに、IIIF画像の検索システムに関する研究を実施した。なお、本研究は、言語資料班の作業が遅れているため、翌年度まで延長することとなった。最終的なまとめは、次年度に実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
代表者の一身上の都合により、本研究は言語資料の分析中であり、まだ文法記述が終了していない。その一方で、システム構築班の作業は順調に進んでいる。次年度の秋ごろまでに言語資料の記述を完成させ、分析結果をシステムに実装させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
言語記述班は文法記述と言語の特徴抽出を終了させるとともに、システム構築班と連携し、言語記述の成果をIIIF画像に連携させるための最終的なファイル作成を実施する。システム構築班は言語記述の成果を原資料のIIIF画像に連携させるとともに、申請代表者と分担者らが開発した「『ヒエラティック古書体学』データベース」をプラットフォームにリンクさせる作業を実施する。この作業を10月までに終え、残りの期間はシステムのバグの修正など微調整を行う。本研究では博物館提供の写真を利用する予定であるが、必要に応じて申請者が現地で写真撮影を実施する。検索システムの公開については、事前に上記博物館学芸員等に連絡をしたうえで、CC BYのライセンスの範囲内で実施する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の事情により、年度途中で研究が進められなくなったため、延長申請を行い、承認された。令和6年度は計画通り執行する予定である。
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Research Products
(7 results)