2021 Fiscal Year Research-status Report
EGG-Facilitated Tension Contrast Study of the Production of Japanese Plosives by L1 Speakers and L2 Learners in Beijing, Shanghai and Seoul
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21K00478
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
福岡 昌子 三重大学, 国際交流センター, 教授 (70346005)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 音声 / 第2言語習得 / 破裂音 / 北京語 / 上海語 / 韓国語(ソウル方言) |
Outline of Annual Research Achievements |
①2021年度は、本研究の前段階における「北京・上海・韓国語(ソウル方言)(以下ソウル方言と表示)話者の日本語破裂音の範疇知覚」について、学会投稿した論文を再投稿するために論文の修正を行った。中国語や韓国語話者は、一般に日本語の破裂音の知覚や生成が難しい。北京語(有気・無気)や日本語(有声・無声)は2項対立、上海語とソウル方言は3項対立(有気・無気・有声)と、言語間の破裂音の違いが、日本語習得に影響することを証明するために必要なステップだからである。 ②北京・上海・ソウル・日本語話者の破裂音生成時の声門動作における緊張性発声コントラストについて、EGG (Electroglotto-graphy)(電気声門図記録)を使って類似性・差異性を探った。EGGパルス指標およびEGGパルス波形が、発声認識とどのように関連するのか、EGG波形による声門開放時間率(Open Quotience)や声門閉鎖時間率(Closed Quotience)について、 EGG-OQ解析 Praatスクリプトを使って分析した。 ③日本語無声破裂音の新たな音響的特徴を提示し、緊張性発声を対照比較し、EGGによる緊張性の数値に関する言語の類似性を証明するために、北京・上海・ソウル・日本語話者の破裂音の発話の数値結果について統計処理を行った。 ④日本語の語頭破裂音「ぱ」/ph/のHowardの数値は、北京語・上海語・ソウル方言話者は日本語話者との間に有意な差があった。語中の無声破裂音は、北京・ソウル方言話者に有意な差があった。語中の有声破裂音は、上海・ソウル方言話者には有意な差は見られず、北京語話者のみ日本語話者との間に有意な差が見られた。母語の分析は、上海・ソウル語話者の結果が3項対立なのに、2項対立の結果しか統計結果が出ていなかったので、再分析を行っている。日本語の調査では、男性と女性の結果はほぼ同じ傾向が見られた。EGGとHowardの結果も、同じ傾向だった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
●2021年度・・・分析および統計にかける。 ①既に調査を実施した4言語別のEGGによる声門開放時間率(OQ)を中心にデータを言語別、語頭・語中別に分析する。下記の調査項目参照。 a. 日本語母語話者:例 語頭:「ぱ」です。「ば」です。 語中:「あぱ」です。「あば」です。 b. 北京語話者:例 語頭:「足八」(/pha/)、「巴」(/pa/ )、語中:「阿 足八」(/apha/)、「阿巴」(/apa/)、c.上海語話者: 例 語頭:「足八」(/pha/)、「巴」(/pa/ )、「白」(/ba/ )語中:「阿 足八」(/apha/)、「阿巴」(/apa/)、「阿白」(/aba/)。d.韓国語(ソウル方言)話者:語頭 ハングル文字①(/pha/)、ハングル文字②(/ppa/ )、ハングル文字③(/p/)語中:ハングル文字①’(/apha/)、ハングル文字②’(/appa/ )、ハングル文字③’(/apa/) ②日本語の有声・無声破裂音、北京語の有気・無気破裂音、上海語の有気・無気・有声破裂音、韓国語(ソウル方言)の激音・濃音・平音について、言語別、語頭・語中別にOQ値、CQ価、Fo値を出し、統計上有意な違いを出した。現在統計の再分析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
●2022年度・・・考察、発表、(追加統計分析、追加実験) ①2021年度に出した統計結果の分析、統計方法の妥当性について考え、必要であれば再度統計分析を行って、結果を検討する。 ②統計結果をもとに、統計方法の検証および考察を行い、比較結果に関する論文化を行う。 ③範疇知覚の研究論文を別学会へ再投稿する。EGGを使った先行研究および他言語を対象とした先行研究との比較・分析を行い、学会へ投稿する。 ④日本語学習者の母語干渉の強い緊張を伴った破裂音をどのように発音指導をすれば、緊張性を解き声帯振動を伴った有声破裂音が生成できるようになるか、音響的な追加実験で再検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で出張できず、2021年度残金は2022年度へ繰り越しとなった。
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Research Products
(1 results)