2021 Fiscal Year Research-status Report
The Interface between Grammaticalization and Construction Grammar: Grammaticalization and Construction Grammar: With Special Reference to the Development of the Interpretative Progressive in English
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21K00481
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
米倉 陽子 奈良教育大学, 英語教育講座, 准教授 (20403313)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 英語進行形 / 行為解説用法 / 通時的英語コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の2021年度は,通時的言語コーパスを使って行為解説用法進行形例採取と先行研究文献の読み込みを行った。 コーパスとしてはA Representative Corpus of Historical English Registers (ARCHER) Version 3を選択した。当初はthe Corpus of Late Modern English Texts (CLMET)の使用を予定していたが,当コーパスは1710年からしかデータがないため,変更している。ARCHERの英国英語1600年から1900年までのデータを50年区分で割り,当該例を「Ving (動詞のing形)」フォームで網羅的に検索した。分詞構文例や前置詞後ろに現れる動名詞例など無関係な例を手動で取り除いた結果,120例の行為解説用法およびその関連用法例が採取できた。行為解説用法は現代英語でも全進行形例の8%程度の頻度とされるが (De Wit and Patard 2013),近代英語期にはそれよりさらに頻度が低いことが明らかになった。特にコーパス中もっとも古い時代区分の1600年―1650年における行為解説用法進行形らしき例はわずかに2例であり,その2例もはっきりと「行為解説用法」と判別できるのかと問われると微妙である。現代英語の行為解説用法にもつながる,まぎれもない行為解説用法が現れるのは1711年であり,この初例の後も長く低頻度が続いていた。例採取に際しては,毛利 (1980) の主張する動名詞起源説 (John did A. That was abusing his position.のような動名詞構文からの派生とする説)の妥当性を確認するため,関連例も併せて採取したが,当該例は13例しか見つからなかった。 以上のように,今年度は例採取を研究の中心に据え,あわせて関連論文の精読を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
例の採取については,研究計画当初の予定通り19世紀の終わりまでの英国英語データの調査を終えることができた。関連論文の精読もほぼ研究計画通り進んでいる。ただ,可能であれば,例の採取と関連論文の精読だけでなく,これからの論考の基盤となる短報を執筆し,ジャーナルに投稿する心づもりであったが,2021年度中にはそこまで進めることができなかった。これは投稿先に考えていたジャーナルの投稿締め切り(2021年8月末)にはまだコーパスからの例採取がほとんど進んでいなかったためである。本研究は実データをベースにした言語変化研究なので,実データがある程度揃っていないと,前に進めることができない。計画段階から予期していたことであるが,投稿に至らなかったことは残念であり,反省しなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画2年目の2022年度は,2021年度に引き続き,ARCHERコーパスで20世紀における進行形 (be + 動詞のing) の行為解説用法例の採取を行う。8月末にはコーパスデータが揃うため,具体的な分析を開始する目途がたつ予定である。同時に論文執筆を進め,2022年10月に査読付き学会刊行叢書への投稿を計画している。分析にあたっては,文法化研究でしばしば指摘される「層化 (layering)」の定義を一部変更して用い,「同一のフォームがいかに多重の意味を持つようになったか」を中心に考察を行う。また,be + Ving形のアスペクト体系への組み入れが進む中で,アスペクト機能とはなじまないように見える行為解説用法が現れた点に着目したい。
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