2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00482
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金 アリン 九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (40869658)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 琉球語 / 徳之島方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鹿児島県徳之島の最北端に位置する金見方言を対象にするもので、アクセントとイントネーションの全体像を明らかにすることを目的とする研究である。アクセントとイントネーションの研究は基本的に現地調査を要するものであるが、研究計画を立てる段階から予想されていた通り、COVID19の拡散により、研究1年目である2021年度は現地でのフィールドワークが困難であった。幸いにも本研究の主な調査協力者となる話者は自身の方言を小川(2015)による琉球語表記法の仮名文字で表記することができる方であるので、2021度は文通のよる調査を行い方言語彙と例文の収集を行った。 まず、標準語で作られた2000語程度の基礎語彙リストを話者に送り、その中で方言語彙があるものを訳して貰った。それを基に研究者側から標準語で例文を作成し、それを話者に自身の方言で翻訳していただく方式で調査を行った。このような調査により100程度の例文を収集することが出来た。しかし、これらのデータはすべて文字情報でしかなく、アクセントなどの音調は記されていないため、2022年度以降のフィールドワークにて実際の音声を録音し確認する必要がある。とはいえ、このような文通調査により、実際のフィールドワークでの調査効率が飛躍的に上がることが予想されるので、コロナ収束後の研究を円滑に進めるためにも、今後も文通での調査を積極的に進めていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の段階からCOVID19により現地でのフィールドワークが困難であることが予想されていたため、今年度中は文通調査を中心に研究を行った。しかし、当初予想していたよりも文通のやり取りに時間が掛かることが分かった。協力者である話者がご高齢であるため、無理をしない程度で研究を進めていく他ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度からはCOVID-19の影響が薄くなると考えられるので、現地調査を行い、2021年度に調査した語彙についてアクセントの録音を行う。また、文通で調査が難しい複合語アクセントやイントネーションの調査も、2022年度以降、集中的に対面で調査を行う方針である。現地調査を経て得られたデータを元に分析を行い、アクセント・イントネーションに関してはその成果を研究会や学会などで報告し論文化する。データベースは最終年度にインターネット上でホームページを立ち上げ公開する。
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Causes of Carryover |
COVID-19により現地調査が不可能であったため旅費の支出がなかった。また、文通での調査を中心に研究を行ったため、今年度における物品費の使用もなかった。2022年度以降のフィールドワークの期間を長くするなどして研究費を使用する計画である。
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