2021 Fiscal Year Research-status Report
A study on Manchu grammar books in the Qing dynasty
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21K00483
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
竹越 孝 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10295230)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 満洲語 / 中国語 / 文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は二つある。第一は、現存する清代の満洲語文法書をくまなく収集・整理した上で、それぞれについて満洲語のローマ字転写・逐語訳と形態素分析を施したクリティカル・エディションを作ることであり、第二は、清代の満洲語文法書において、満洲語の格・活用・語形成といった概念が中国語でどのように表現されているか、またそれはどのような思惟方法に基づくものかを明らかにすることである。三年間の研究期間のうち、前の二年間を第一の目的にあて、後の一年間を第二の目的にあてる予定である。 2021年度の目的は、日本及びイギリス、フランス、ドイツの研究機関や公共図書館において、現存する満洲語文法書を調査し、文献学的記述を残すとともに、それぞれの複写・画像データを収集すること、そして収集した文献について異本と系統関係を整理した上で、満洲語のローマ字転写・逐語訳と形態素分析を施したクリティカル・エディションを作ることであった。 2021年度は本務校でサバティカルにあたり、前半は新型コロナウィルス感染症をめぐる社会情勢の影響により海外での文献調査は行うことができなかったが、後半はフランス・パリに滞在し、フランスの研究機関や公共図書館、特にフランス国立図書館(Bibliotheque nationale de France)所蔵の満洲語文法書について遺憾なく調査を進めることができた。ただし、イギリスおよびドイツを訪問することは不可能であった。 文献調査の面では一部計画通りに進められなかった点もあったが、これまで収集した版本の複写や画像データをもとにして、年度末までに、1)『清書指南・翻清虚字講約』、2)『滿漢類書・字尾類』、3)『滿漢字清文啓蒙・清文助語虚字』、4)『清語易言』の校本作成を終えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症をめぐる社会情勢の影響を受けて、特に海外での文献調査は計画通りに遂行することができていない。しかし、今年度予定していた四つの文献について、現在までに収集した版本の複写・画像データをもとに、異本と系統関係を整理し、満洲語のローマ字転写・逐語訳と形態素分析を施した校本を作成するという目標は達成することができている。したがって、現在までのところおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症をめぐる社会情勢については引き続き予断を許さないものの、海外での文献調査に関しては、2021年度に実施予定であったイギリスとドイツの研究機関・公共図書館訪問を、2022年度に組み込むことで実現させたい。 また、2022年度に予定している5)『三合便覽・清文指要』、6)『清文接字』、7)『清文虚字指南編』、8)『清文字法舉一歌』の校本作成については、予定通り年度末までに作業を終えることにしたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は二つある。一つは、新型コロナウィルス感染症をめぐる社会情勢の影響により、国内および海外での文献調査を充分に遂行することができなかったことである。もう一つは、2021年度は本務校のサバティカルにあたり、年度の後半をフランス・パリに滞在したが、勤務先から支給されるサバティカル関係の諸経費により、滞在中の調査費用をまかなうことができたことである。 使用計画は次の通りである。新型コロナウィルス感染症をめぐる社会情勢は予断を許さないが、現段階では、2021年度に行う予定であった海外の研究機関・公共図書館での調査を、2022年度に行う予定である。
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