2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study on Manchu grammar books in the Qing dynasty
Project/Area Number |
21K00483
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
竹越 孝 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10295230)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 満洲語 / 中国語 / 文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、清代に刊行された満洲語の文法書類を素材として、前近代の中国語話者が非中国語の文法をどのようにとらえ、どのように表現したかを探ることであった。 現存の資料による限り、明代以前には中国語による体系的な非中国語の文法記述が存在しない。清代を通じて刊行され続けた中国語による満洲語文法書は、現代の言語学から見ると素朴な記述という評価になるが、見方を変えれば、当時の中国語話者がアルタイ諸語の文法をどう認識し、それをどのように中国語で表現したかを知る上で貴重な資料である。 そこで本研究では、現存する清代の満洲語文法書のテクストをくまなく収集した上で、それぞれについて満洲語のローマ字転写・逐語訳と形態素分析を施したクリティカル・エディションを作し、それをもとに、満洲語の格・活用・語形成といった概念が中国語でどのように表現されているか、またそれがどのような思惟に基づくものかを明らかにしようとした。 最終年度であった2023年度は、2022年度までに作成したクリティカル・エディションをもとに分析を行った。それぞれの文献が、満洲語の格・活用・語形成といった概念をどのように中国語で表現しているかについての一覧表を作成し、そこには一定の継承関係が認められるのか、通時的な変化は存在するか等について検討した。また、各文献における文法の記述や例示の方法等を検討し、そこにはどのような文法観が現れているかを分析した。 以上の考察によって得られた成果は、国内学会及び国際学会において発表した。
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