2022 Fiscal Year Research-status Report
Processing of English Final Nasal segments by Japanese Lsteners
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21K00488
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
森 直哉 福井工業大学, 工学部, 講師 (70881895)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音声学 / 音韻論 / 日本語 / 英語 / 言語聴覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語母語話者が外国語音の音声を認識して処理する際にどのように言語情報を利用して処理を促進させているのか、またそれにど の程度母語の影響があるのかについて研究調査するものである。日本語母語話者の音声処理については長く日本語の同化音の知識との関連性が 指摘されてきているが、一方でMori(2019)では子音の長さが同化音の弁別に関わってくるという報告がなされている。今年度は発話実験を行い得られた音声の分析を行なった。発話実験では英語と日本語の語末子音の持続時間の差について分析を行った。。英語の発話実験では、鼻子音で終わる英単語とp,b,t,d で始まる英単語を含む英文、語末がp,b,t,dで終わる英単語と語頭が鼻子音から始まる英単語を含む英文、語頭と語末が同一の鼻子音もしくはp ,b,t,dである語を含む英文の3種類を英語母語話者に読み上げてもらい、それらを録音されていた。日本語の発話実験でも同様に、語末が「ん」で終わる単語と語頭がパ行、バ行、タ行、ダ行で始まる単語を含む日本語文、語末がパ行、 バ行、タ行、ダ行で始まる単語と語頭がナ行またはマ行から始まる単語のフレーズを含む日本語文、語頭と語末が同一の鼻子音もしくはパ行、 バ行、タ行、ダ行で始まる語を含む日本語文の3種類を日本語語母語話者に読み上げてもらい、それらを録音された。これらの録音された音声は分析され、語頭と語末の鼻子音の持続時間が測定された。それぞれの発言における各種語頭子音の持続時間の絶対値を1とした場合の語末子音の持続時間から語頭子音との相対的な値を求められた。その結果日本語母語話者の発言の比率は1:2.29、英語母語話者にそれは1:1.64であった。これらの値は統計的にも差が認められ、日本語と英語においては語末鼻子音は絶対的な差があり、この差が異言語近くに大きく影響していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
以前まで使っていた統計分析の方法が使用できなくなり、新たにpythonを使用した統計分析手法を学習中である。それに時間が割かれ、なかなか音声分析まで手が回らず時間がかかってしまっており、実験の報告が大幅に遅れてしまっている。 二つ行う予定であった実験のうち、一つは弊学の紀要論文集にげんこうを投稿できた。 今年度中にはもう一つの実験を行い、分析、発表まで行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次に行う実験では聞き取り実験を行い、日本語母語話者において同化現象の知識を用いた促進効果を行うのに必要な同化音の長さの閾値について調査 を行う。使用する実験手法は音素探索課題で、この実験では参加者は音声刺激を聞いて、その中から指定されたターゲットの音を探し、それが聞こえた瞬間に指示されたボタンを押すというものである。ターゲットの音が鳴り始めてから参加者がボタンを押すまでの時間が反応時間とし て記録される。ここで使用される音声刺激は先の実験で得られた英語音声を使用し、ターゲットの直前の音である語末鼻子音の長さを音源編集ソフトで調整され、閾値をの調査のために1.54倍、1.4倍、1.3倍、1.2倍に調整されたものが用意される。これらは実験そのものの時間短縮のた めに分割、混合して3つの分かれた実験パッケージに収録される。本実験では90人ほどの参加者を必要とするが、これについては広く参加者を 募集することで対応する予定である。実験2の目的は閾値を調査することであり、最終的にはどの程度までなら日本語の語末鼻音よりも短い音でも日本語母語話者が許容するのか明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
実験の実施がおくれており、今年度に実施する予定である。 実験では聞き取り実験を行い、日本語母語話者において同化現象の知識を用いた促進効果を行うのに必要な同化音の長さの閾値について調査 を行う。使用する実験手法は音素探索課題で、この実験では参加者は音声刺激を聞いて、その中から指定されたターゲットの音を探し、それが 聞こえた瞬間に指示されたボタンを押すというものである。ターゲットの音が鳴り始めてから参加者がボタンを押すまでの時間が反応時間とし て記録される。ここで使用される音声刺激は先に行われた実験で得られた英語音声を使用し、ターゲットの直前の音である語末鼻子音の長さを音源編集ソ フトで調整され、閾値をの調査のために1.54倍、1.4倍、1.3倍、1.2倍に調整されたものが用意される。これらは実験そのものの時間短縮のた めに分割、混合して3つの分かれた実験パッケージに収録される。本実験では90人ほどの参加者を必要とするが、これについては広く参加者を 募集することで対応する予定である。実験の目的は閾値を調査することであり、最終的にはどの程度までなら日本語の語末鼻音よりも短い音 でも日本語母語話者が許容するのか明らかにしたい。
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