2021 Fiscal Year Research-status Report
Essence and ontology of structure-building mechanisms of natural language system: a graph-theoretical approach
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21K00491
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
有川 康二 桃山学院大学, 国際教養学部, 教授 (80299023)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自然言語計算システム / 文構造の構築メカニズム / 解釈不能素性の存在理由 / 行列統辞論 / フラクタル幾何学 / ウイルスチェックシステム / エラー最小化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的にはフラクタル幾何学を援用した分析を掲げ、行列統辞論の利用を掲げた。2021年度の研究計画では「併合と樹形図の本質、存在理由に関する問題」を掲げた。これらに対応するように、Origin, superposition, and dynamics of linguistic tree: a matrix syntactic and fractal geometrical approach(言語構造の起源、重ね合わせ、力学:行列統辞論、フラクタル幾何学的考察)という英語論文を国際学術ジャーナルJournal of Cognitive Scienceに投稿しており、現在、査読中(第2ラウンド)にある。複数の査読者の批判、アドバイスを最大限反映しながら修正中である。 また、2022年度の研究計画である「形式素性(変数)消去の本質、存在理由の探究」を先取りするかたちで、uF: its raison d'etre(解釈不能素性:その存在理由について)という英語論文を執筆し、国際学術ジャーナルBiolinguisticsに投稿した。現在、査読中(第1ラウンド)にある。後者の論文は、ヒト脳の自然言語計算システムがウイルス・チェック・システム(エラー最小化システム)を偽装しているという仮説を支持するものである。 上記の二論文は、概要の冒頭に掲げた「自然言語システムの構造構築のメカニズムの本質と存在理由」という本研究テーマの根幹に関わるものである。国際学術ジャーナルへの投稿、査読、掲載のプロセスには、往々にして年度を跨ぐ期間を要する。その為、若干次年度の論文執筆等を急ぐかたちで研究計画を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先の「研究実績の概要」でも述べたように、現在、研究目的、計画に合致するようなかたちで、国際学術ジャーナルの2本の英語論文を投稿中である。1本目は、Origin, superposition, and dynamics of linguistic tree: a matrix syntactic and fractal geometrical approach(言語構造の起源、重ね合わせ、力学:行列統辞論、フラクタル幾何学的考察)という論文(Journal of Cognitive Scienceに投稿)で、行列統辞論とフラクタル幾何学を駆使し自然言語計算システムの構造構築のメカニズムと存在理由を考察した。具体的には、A移動に関する連鎖構造の文法性(最小計算の法則に従う場合(文法的)と従わない場合(非文法的))の線形代数的な分析の可能性について考察している。2本目は、uF: its raison d'etre(解釈不能素性:その存在理由について)という英語論文をBiolinguisticsに投稿した。既に述べたように、国際学術ジャーナルへの投稿、査読、掲載のプロセスには、往々にして年度を跨ぐ期間を要する為、2021年度、2022年度の研究テーマに関わる論文執筆を急ぐかたちで研究計画を実施している状況である。また、2023年度の目標である著書(Elements of Geometrical Linguistics(幾何言語学原論))の投稿、査読に向けての作業も同時進行中である。これも単年度の期間ではその作業プロセスを完了することは難しいため、本年度も含めて作業を同時進行的に進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、既述したように、以下の2本の英語論文の国際学術ジャーナルへの掲載を目指すこと、及び、英語による著書1冊の出版を目標とする。1本目の、Origin, superposition, and dynamics of linguistic tree: a matrix syntactic and fractal geometrical approach(言語構造の起源、重ね合わせ、力学:行列統辞論、フラクタル幾何学的考察)という論文は、Journal of Cognitive Scienceへの掲載を目指す。また、2本目の、uF: its raison d'etre(解釈不能素性:その存在理由について)という英語論文は、Biolinguisticsへの掲載を目標とする。更に、2023年度の目標である著書(Elements of Geometrical Linguistics(幾何言語学原論))の出版先に関しては、現在、Language Science Press (ベルリン、ドイツの無料オンライン出版社)からの出版を計画中である。補助事業期間内に投稿、査読などのプロセスに目処をつける為には、本年度中の投稿が必要となると考える。その投稿準備作業を早急に開始、実施する必要がある。
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Causes of Carryover |
初年度では、研究を実施していく上で必要となる基本的な機器(パソコン等)の購入と英語論文の国際学術ジャーナルへの投稿の為の英文校正費用が中心となった。書籍などの設備備品費等は当該研究機関からの個人研究費を消費した。よって、上記のような次年度使用額が生じた。研究計画でも述べたように、コロナ感染対策のため、研究出張などは控えており、その面での出費はなかった。また、他大学におけるコロキアムなどの研究会もZoom等の遠隔で実施されたため、旅費等の実質的な出費がなかった。このような理由で、若干の次年度使用額が生じた。
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