2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K00492
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中野 陽子 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20380298)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 類似性の効果 / 促進性干渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は日本語学習者からもデータを収集した。手法は日本語母語話者と同じ方法を用いるが、日本語の能力を調べるために日本語の能力テストを実施した。結果は分析中である。また、新造動詞の活用形産出では、まず新造動詞の種類(カテゴリー)の分類が行われることが考えられる。カテゴリー分類についての文献調査の結果、①規則に基づいて分類される考え方、②既存の知識との類似性に基づいて分類する考え方、③類似性に基づいてはいるが、基本形をカテゴリーに分類することなく、直接、活用形が産出される可能性もあることが示唆され、それぞれに機械学習用プログラムが作成されていることが分かった。特に②に関連する機械学習用のプログラムを検討した。 英語の文では、主語名詞と本動詞の文法上の数を一致(統語的一致)させる。その際、名詞や動詞の活用形が使用される。”The tree near the pond(s) were planted happily by an old lady.” のような文は非文であるが、主語名詞句内の前置詞句にあるpondが複数形であるときは母語話者でも非文であることにきづかず、pondが単数形の時よりも、容認度が高くなったり、読み時間が速くなったりする促進性の効果を持った類似性による干渉が起きることが知られている。促進性干渉を調べることは文中での活用形の役割を考える上で参考になる。そこで、英語の母語話者と日本語が母語の英語学習者に時間制限のある容認性判断課題を実施して促進性干渉が起きるかどうか調べた。その結果、両者で促進性干渉が見られたが、非文では母語話者と学習者に容認性判断値に差が見られなかったが、主語名詞がThe trees near the pond(s)の様に正文では、学習者の方が母語話者より有意に低くなる違いが見られた。この結果は、令和5年度の国際学会の口頭発表に採択された。また、日本語についても同様の実験を行っている。母語話者の結果は、国際学会で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響のためか実験協力者の募集に時間が掛かってしまい遅くなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)Examplar-similarity modelに基づいたカテゴリー分類のための機械学習用プログラムを適用して調査を行う予定である。 (2)日本語学習者から意向形に関して得られたデータの分析を進め、その結果を学会発表に応募したり、学術雑誌に投稿して発表する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大予防のため対面による学会が開催されず、旅費の支出が無かったことと、対面による実験の実施を見送ったため人件費・謝金の支出が少なかったことにより、次年度使用額が生じた。 旅費は学会の開催方式に合わせて使用する計画である。また、人件費・謝金は、対面による実験が可能であれば対面による実験を実施して使用する。研究の一部については、インターネット上のプログラムを利用する、またはwebを介した実験プログラムを配布し、クラウドソーシングサービスを利用しながらデータを収集することも可能であるため、状況に応じて対面以外の実験も行って使用する予定である。
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Research Products
(4 results)