2021 Fiscal Year Research-status Report
消滅寸前のヴァヌアツ未調査・無文字言語に残された数の記録の解明と解読
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21K00507
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内藤 真帆 東北大学, 文学研究科, 准教授 (00784505)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヴァヌアツ / 消滅危機言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
南太平洋に位置するヴァヌアツ共和国は83の島からなり、およそ30万人に、文字を持たない100あまりの現地語が話される。本研究は、これらの言語のなかでも辺境地に残る未調査・未解明の言語に焦点をあて、これらを現地調査することで以下の2点をめざすものである。ひとつは、これらを言語学的に明らかにし、ヴァヌアツ共和国における言語学の空白を埋めることである。この過程で、既存の言語学に報告されていない事象が確認される場合にはそれを発表し、言語学界に新たな視座を提供する。もうひとつは、数という抽象的な概念を話者がどのように具象化・具現化するかを調査し、数にかんする話者の認知体系を明らかにすることである。 本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、当初予定していたヴァヌアツ北部の島および南部の島の現地調査を実施することが叶わなかった。そのため国内でオセアニア諸語の辞書や文法書といった言語学関連の書籍、さらに文化人類学や社会学、数の歴史に関する書籍をもとにして、次年度のための調査表を作成した。そしてこれらを過去の調査で得た北・中央ヴァヌアツ諸語のデータと照らし合わせることで考察のポイントを絞り込み、仮説をたてた。上記と並行して、ヴァヌアツ全土の言語調査状況を調べ、今後調査が可能となった際にどの地域の調査をおこなうかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、ヴァヌアツ共和国での言語調査を実施することが叶わず、一次データの入手はできなかった。しかしながら文献調査とこれまでのデータの再分析により次年度以降の調査票作成および調査地の絞り込みを進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度、海外調査が可能になった時には、今年度作成した調査票をもとに調査を実施する。新型コロナウイルスの影響により海外調査が依然として困難な時には、先行研究をもとに調査項目を絞り込み、過去に得たデータの再分析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、新型コロナウイルスの感染拡大により、当初予定していた海外調査が叶わなかったためである。次年度、海外渡航が可能な場合は調査を実施し、可能でない場合は文献等を収集し、調査項目の検討を行う。
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