2022 Fiscal Year Research-status Report
Multimodal analysis of the relationship between Japanese grammar and embodiment
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21K00524
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安井 永子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (30610167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 誠 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70791979)
高梨 克也 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (30423049)
岡田 みさを 北星学園大学, 経済学部, 教授 (90364215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 相互行為 / 文法と身体 / 身体活動 / 会話分析 / マルチモダリティ / 相互行為分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語の相互行為において、その文法的特徴(語順や助詞の使用など)が、身体動作の産出とどのように関わるのかを探る相互行為分析研究である。文法と身体動作の相関関係を探り、日本語固有の文法的特徴が、身体全体の動きや身体動作を伴う活動の進行に与える影響を明らかにすることを目指している。そのため、日本語によって行われる、身体動作が中心となる活動のビデオ収録をデータとして用いる。 2年目となる2022年度は、2021年度より着手していた分析を進め、論文としてまとめる作業に加え、新規のデータ収録も行った。まず分析では、身体スキルの教授場面における教え手と学び手の発話と身体動作の産出の関連を細かく記述した。ダンスの教授におけるオノマトペと身体の動きとの産出の調整や、サッカーの教授場面における講師の教示発話が選手の動きに合わせて組み立てられるさま、および、選手の動きが進行中の講師の教示発話を先取る形で産出されるさまなどを記述し、論文にまとめた。 データ収録は2度行い、身体スキルの教授場面を合計3時間ほどビデオ撮影した。収録したデータに対し、書き起こしソフトELANを用いて、発話と身体動作の書き起こし作業を行った。その他、日常会話コーパスのデータからも関連場面を抽出し、書き起こし作業を行った。 その他、ミーティングを行い、メンバー間で今後の予定を確認し合ったほか、身体動作の分析の仕方について、データを見ながら議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目にして本研究課題の研究成果を複数の論文にまとめることができた。これは、分析が順調に進んでいることを示している。また、新たなデータを複数収録したことも計画通りである。現在、分析対象となりうる現象を特定し、それらの書き起こしを進めている。これにより、今後の新たな分析に着手する準備が整いつつある。 一方で、発話と同時に起こる身体の動きや相互行為の形成に、発話における日本語固有の文法的特徴がかかわることを明確に示す成果がまだ出ていないのは大きな課題である。これに対しては、データの細かい観察を引き続き行うことで取り組んでいく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目に入る2023年度は、文法と身体動作の産出の関係を示す特徴的な現象に関し、引き続き分析を積み上げながら、日本語文法のどのような側面が身体動作の産出とかかわるのか、および、身体動作の産出により、日本語文法や日本語発話のどのような特徴が明らかになるかについて、体系的に整理していく。また、研究成果を論文集やジャーナルの特集号としてまとめる準備にも入る。特集号もしくは論文集のプロポーザルを作成し、本研究プロジェクトメンバー以外の執筆者候補への声がけを行い、具体的に準備していく。
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Causes of Carryover |
依然、コロナの影響で対面での研究報告会の開催数が限られている状況であったため、計画通りの旅費を使用することができなかった。2023年度は既に海外での学会にて研究報告を行うことが決まっているため、2022年度分の旅費を2023年度の学会発表にて使用することができると考えられる。また、物品費にかんしては、当初は作業用の追加パソコンを購入予定であったが、コロナ禍で作業者を対面の状況で雇用することができなかった。そのため、物品費を大幅に使用できない事態となった。2023年度はより詳細な分析に入るため、作業用パソコンの追加分や、書籍が多数必要となる。そのため、計画通り物品費も執行できると考えている。
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Research Products
(4 results)