2022 Fiscal Year Research-status Report
言語の意味理解におけるスケール・比較概念の汎用性:語用論、談話構造への発展
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21K00525
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南 英理 (田中英理) 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (40452685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 治 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40598083)
水谷 謙太 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (40878352)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 比較 / 焦点 / 対照命題 / も / は / 少なくとも / それよりも / 談話機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
大きく以下の二点について、いくつかのトピックに分けて研究を行った。 ・対照命題を要求するような表現(焦点)について、数詞と「も」と否定の関係、contrastive topicの「は」が持つスカラー前提の存在、英語と日本語のat least/「少なくとも」の違いについて分析を行った。まず、数詞と焦点時「も」・否定の関係は、(i) 否定 > も > 数詞 、(ii) も > 数詞 > 否定の少なくとも2種類がありうるが、数詞が概数でない場合には(i)の解釈が不可能となる。これについて、概数・非概数を含む文のentailmentと「も」がもつスカラー前提との関係から説明できることを明らかにした。次に、日本語のcontrastive topicの「は」について、「形容詞 は 形容詞」(e.g., おいしいはおいしい)のようなタイプの表現を観察することによって、「は」がスカラー前提を持つ場合があるという主張を裏付けた。最後に、英語、日本語のat least/「少なくとも」について、後者は「少なく」「と」「も」から構成されて、even-ifと同様の意味論を持つこと、それによって前者には存在するepistemic解釈が日本語では得られない環境があることが説明できることを示した。 ・談話機能上の「比較」について、「それよりも」のように比較表現を用いて談話上の切り替えを行う表現の分析を行い、それらがnon-at-issueのレベルで「他の話題よりも重要である」ことを表す機能を持つことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較概念の談話上の機能、および焦点を中心としたスケール概念と比較と関わる概念についての研究成果を順調に出すことができているため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
・引き続き、談話上の比較概念に関する研究と意味論上の比較概念に関する研究を推進する。 ・8月末にワークショップを開催し、これまでの研究成果と今年度推進しているトピックについての中間報告を行う。
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Causes of Carryover |
・3月に国際ワークショップを開催する予定であったが、講演者の予定とうまく合致せず、国内研究者のワークショップとなったため、そのための旅費や謝金が不必要となった。
・夏に海外から講師を招いて、本科研の報告を兼ねた国際ワークショップを開催する。その講師の旅費、ワークショップ開催に関わる経費などに使用する。
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Research Products
(7 results)