2023 Fiscal Year Research-status Report
インタビューの語りにみるジェンダー規範から考える女性活躍推進
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21K00529
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 響子 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 教授 (80235332)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 女性活躍 / ジェンダー規範 / インタビュー / ロールモデル / アイデンティティ構築 / ナラティブ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
真の意味で女性活躍が進まない日本の企業で働く女性たち28名へのインタビューをナラティブ分析することによって、職場、昇進、働くこと、ワークライフバランスに対して女性たちが何を考え、どのような規範意識で自己を見つめているのかを明らかにすることを目的に分析を進めた。 分析の一つ目の焦点は、インタビュー中にしばしば登場する「ロールモデル」に関する語りである。彼女たちが誰のどのような点を参考にしているのかと同時に、自分たちがロールモデルとして後輩たちの眼にさらされることに何を感じているのかに焦点を当てて分析を行い、ネオリベラルフェミニズムの思想が浸透する現代社会の中で、「完璧であり」、「迷惑をかけないこと」が大きなテーマとして行動に規制がかかっている様子が浮かび上がった。成果は、2023年7月開催のInternational Gender and Language Assoiation Conference (オーストラリアブリスベン)において発表し、「インタビュー場面におけいる女性管理職のアイデンティティー構築:ロールモデルに関するナラティブに注目して」というタイトルの論文を投稿中。 さらに、インタビュー中に現れるネガティブ評価に注目した分析に着手した。同僚のこと、企業の体質のこと、自分自身のことなど、ネガティブ評価が語りの中に現れることがある。時には語り手の品行という意味ではマイナスになりうる内容をなぜ語るのか、語りを通して何を行っているのかについて分析、続いて、均等法第一世代前後で初職から同じ会社で働き続けていている方たちのデータを対象として、昇進にまつわる語りの分析に着手し、それぞれ国際学会での発表がアクセプトされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビューに同席していた当時の大学生(就職後1年目と2年目)にフォローアップインタビューを実施する予定であったが、それぞれの仕事の都合で実施することが叶わなかった。学生に資する研究という目的にかんがみて、学生あるいは就職後間もない社会人からの声を拾うための方策に軌道修正が生じているため。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューデータの分析を引き続き進める。成果の学会発表および、論文化を行う。 フォローアップインタビュに関しては、状況を見極めつつ、若い世代の声を拾うという観点で軌道修正を行う。
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Causes of Carryover |
予定していたインタビューが実施できなかったため、文字起こし用の費用を次年度に繰り越すため。
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