2022 Fiscal Year Research-status Report
漢文文献読解の基層構造を解明するための日本現存漢籍訓点資料の精密記述研究
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21K00544
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小助川 貞次 富山大学, 人文学部, 名誉教授 (20201486)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 漢籍訓点資料 / 漢文文献読解 / 加点概要 / 書誌情報 / 漢字文化圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画にしたがいながら、本年度は(1)唐鈔本古文尚書(東洋文庫蔵)に関する継続研究と(2)唐鈔本漢書楊雄伝(京都国立博物館蔵)に関する新規研究を行い、さらに(3)唐鈔本に関する知見を深めるために石川武美記念図書館成簣堂文庫に所蔵される周礼鄭注に関する研究を行った。 (1)唐鈔本古文尚書(東洋文庫蔵)は、前年度研究の[A]「既存の手書き資料の補正」と[B]「漢文本文の精密な電子化処理」について、より精密な資料とするために再点検を行い、[C]「書込・加点内容の精密な電子化処理」に関する問題点の検討を行った。 (2)唐鈔本漢書楊雄伝(京都国立博物館蔵)は、[A]「既存の手書き資料の補正」については、申請者が作成した既存の紙媒体の手書き資料(解読文)を対象に、近時公刊された『国宝漢書楊雄伝第五十七』(勉誠出版、2019)および同書解題執筆用の電子画像を用いて補正作業を実施した。なお原本熟覧は新型コロナウイルス感染拡大のために実施していない。また[B]「漢文本文の精密な電子化処理」については、補正した手書き資料[A]と複製資料・電子画像を比較しながら、慎重にテキストファイルを作成した。なお[C]「書込・加点内容の精密な電子化処理」については、補正した手書き資料[A]と複製資料・電子画像を比較しながら、[B]で作成したテキストファイルに追記処理を行うための検討に留まった。 (3)さらに、これら二文献が唐鈔本であることから、唐鈔本に関する知見を深めるために唐鈔本の可能性のある周礼鄭注(石川武美記念図書館成簣堂文庫蔵)について原本熟覧調査を行い、その可能性について新たな知見を得た。 以上の研究過程で得られた成果について、学会発表2件(国内1件、海外1件)、国内雑誌論文2本、海外図書1本において公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
唐鈔本古文尚書(東洋文庫蔵)、唐鈔本漢書楊雄伝(京都国立博物館蔵)のいずれについても、[C]「書込・加点内容の精密な電子化処理」の部分が未完了である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は前年度までに完了できなかった唐鈔本古文尚書(東洋文庫蔵)、唐鈔本漢書楊雄伝(京都国立博物館蔵)それぞれの[C]「書込・加点内容の精密な電子化処理」について完了を目指すとともに、日本以外の地域における唐鈔本や加点資料の伝流とそれらの精密記述の実態を探るために若干の海外調査を行い、計画全体の完成を期す。
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Causes of Carryover |
定年退職に伴って、研究環境が大学研究室から自宅へと大きく変わり、研究活動に様々な制約が発生したため若干の残額が発生した。残額は僅少であり、最終年度はこれを含めて当初の計画通り適切に執行する予定である。
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Research Products
(5 results)