2023 Fiscal Year Annual Research Report
漢文文献読解の基層構造を解明するための日本現存漢籍訓点資料の精密記述研究
Project/Area Number |
21K00544
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小助川 貞次 富山大学, 人文学部, 名誉教授 (20201486)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 漢籍訓点資料 / 漢文文献読解 / 加点概要 / 書誌情報 / 漢字文化圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語による漢籍訓読の初期の様相を示す唐鈔本古文尚書(東洋文庫蔵)と唐鈔本漢書楊雄伝(京都国立博物館蔵)を対象として、漢文本文に書き加えられている複雑な加点内容を精密に記述した電子化テキストを作成し、その上で原本の状態を忠実に再現できる釈文(解読文)ファイルと国際的な比較研究に通用する構造化ファイルを試作し、漢字文化圏における漢文文献読解の基層構造を具体的に解明しようとするものである。 唐鈔本古文尚書、唐鈔本漢書楊雄伝の両資料ともに、戦前に出版されたコロタイプ印刷による精密な複製資料と近時の原寸原色による精密な複製資料があり、また唐鈔本漢書楊雄伝についてはe国宝で精細なカラー画像が公開されており、これらに加えて本研究開始以前に数度の原本閲覧調査によって得られた知見があり、これらをもとに研究を行った。 当初目指していた構造化ファイル(テキストファイル)については、両資料ともに数度に及ぶ極めて複雑な訓点が加点され、それらを判別・記述することが困難であるケースが多いことから断念し、基礎資料として釈文(手書き解読文)ファイルと漢文本文の諸情報を記述したExcelファイルとしてまとめることにとどめたが、当初の目的である漢字文化圏における漢文文献読解の基層構造の具体的解明は、ある程度為し得たと考える。 発表した研究成果としては、令和5年度は雑誌論文1件(国内1)、学会発表3件(国内1、海外2)、図書2件(国内1、海外1)、研究期間全体では雑誌論文5件(国内5)、学会発表5件(国内2、海外3)、図書3件(国内1、海外2)がある。また基礎資料として解読文2件、電子データ2件をresearchmapに登録した。
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