2021 Fiscal Year Research-status Report
近世後期を中心とした待遇表現の地域差に関する歴史社会言語学的研究
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21K00549
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森 勇太 関西大学, 文学部, 教授 (90709073)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 敬語 / 丁寧語 / 行為指示表現 / 受益表現 / 待遇表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は,待遇表現の地理的・歴史的変種を調査することで,各変種の待遇表現の運用の差異がなぜ,どのようにして生まれてきたのかを明らかにすることである。本研究は「[1]行為指示の談話的研究」と「[2]各方言の待遇表現についての研究」の2つの研究を柱にしているが,このうち2021年度には,以下の研究を実施した。 [1]行為指示の談話的研究=行為指示表現において受益表現(「―くれ」「―ください」等)が使われるようになった過程について調査を行い,日本語学会にて発表した。中世の資料において,主従関係にある人物間では,そうでないときに比べて受益関係が用いられにくい。また,動作の内容としては,上位者への懇願や無理なお願いで受益表現が使われやすく,発話場で即時完結するような動作には受益表現が用いられにくい,ということを明らかにした。 [2]各方言の待遇表現についての研究=近世後期における上方(京・大坂)と江戸の丁寧語の運用について,洒落本資料を対照した調査を行い,日本語文法学会にて発表した。上方では,丁寧語を高頻度で使用する話者がほとんどいなかったのに対し,江戸では丁寧語を高頻度で使用する話者が多かった。このような丁寧語使用の地域差は,丁寧語の発達・浸透の段階にある社会言語学的状況を反映させていると考えた。なお,上方の方言の歴史に関して,待遇と関係する助詞「イナ」「イヤ」の歴史について調査し,研究論文を発表した。「イナ」が近代以降の上方で疑問文との結びつきを強めたため,命令表現に接続する「イヤ」が成立したと考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,[1]行為指示の談話的研究のデータ収集と,[2]各方言の待遇表現についてのデータ収集,および学会発表の予定としていたが,[1]・[2]両方で学会発表をする機会に恵まれたほか,[2]に関連する研究論文を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後ともデータ収集を進めるともに,成果発表も予定通り進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,関連学会がオンラインで開催されたため,旅費の拠出が予定よりも少なくなった。2022年度以降のアルバイト謝金に充当し,より研究を進展させていきたい。
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Research Products
(3 results)