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2021 Fiscal Year Research-status Report

定形関係節と縮約関係節の統語論研究

Research Project

Project/Area Number 21K00564
Research InstitutionKitami Institute of Technology

Principal Investigator

戸澤 隆広  北見工業大学, 工学部, 教授 (70568443)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords定形関係節 / 縮約関係節 / 関係節の派生方法 / ラベル付け理論 / MERGE
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、定形関係節と縮約関係節の統語論研究により、ラベル付けの仕組みの解明とMERGE理論の精緻化を試みる。
2021年度は縮約関係節と不定詞関係節の内部構造の解明を目標とし、この目標達成のために基礎的研究を行った。具体的には(1)先行研究の精読、(2)データ収集、(3)統語特性の記述、以上の三点に取り組んだ。
(1)について、縮約関係節では主にKayne (1994)を読み直し、分析の問題点を整理した。不定詞関係節では主にBhatt (1999)を熟読し、意味論を中心に理解を深めた。また、Hulsey and Sauerland (2006)を精読し、関係節には二つの派生方法がある可能性を検討した。
(2)について、関係節内の束縛現象や熟語のデータを多く集めることで先行詞が関係節内に再構成するか確認できるようにした。また、CP副詞のデータ収集により、関係節の句構造を明らかにできるようにした。
(3)について、縮約関係節と不定詞関係節のデータを検討した結果、前者はTPの構造を持つのに対し、後者はCPの構造を持つことを明らかにした。縮約関係節に関しては、TPであることを以前の研究でも検証していたが、縮約関係節と不定詞関係節との比較を通して、縮約関係節がTPの構造を持つことの妥当性を高めた。また、縮約関係節と不定詞関係節の研究に並行して、定形関係節についても予備的な研究を行った。
ここまでの研究成果としてTozawa (2021) "On Non-Finite Relative Clauses"を論文発表した。この論文では、縮約関係節と不定詞関係節の派生において、移動要素が語彙項目である限り、それが移動先で構成素のラベルになれると主張した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2021年度は基礎的研究に従事し、次年度の拡張的研究の基盤を築いた。具体的には、(1)先行研究の主要文献の精読、(2)データ収集、(3)統語特性の調査、の三つの項目を定めて研究を行った。
(1)について、縮約関係節と不定詞関係節の派生に関わる文献を熟読し、先行研究の分析の問題点等を整理した。これにより、新たな分析の提示に向けての土台を築いた。
(2)について、先行研究の文献からデータを収集するだけでなく、コーパス、一般洋書、英字新聞、英語母語話者による容認性判断などからもデータ収集を行った。これにより、縮約関係節と不定詞関係節の統語論研究の土台を築いた。
(3)について、データに基づいて縮約関係節と不定詞関係節の統語特性を記述し、両者の共通点と相違点を整理した。これにより、縮約関係節の主要部繰り上げ分析(先行詞が関係節内から先行詞の位置に移動する分析)の可能性を見出した。不定詞関係節に関しては、wh移動分析が有効である可能性があることが分かった。縮約関係節と不定詞関係節の派生方法の違いをどのように説明するかについては今後の研究課題とした。また、2021年度は縮約関係節と不定詞関係節のような非定形関係節を中心に研究を進めたため、定形関係節の考察が足りなかった。次年度は定形関係節の研究を中心に進めていきたい。
以上、研究課題が見つかったが、基礎的研究で掲げた研究項目がおおよそ達成できたと思われることから、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は前年度の基礎的研究を継続することに加え、言語理論の精緻化に向けて発展的研究を行う。具体的な研究項目は(1)非制限関係節の統語特性の調査、(2)非制限関係節の派生の考察、(3)MERGE理論に関わる文献の精読、以上の三点である。
(1)について、データ収集を行う。文献、一般洋書、コーパス、英語母語話者による容認性判断などからデータを集め、現象ごとにまとめる。収集したデータを考察し、非制限関係節の統語特性を記述する。また、非制限関係節と非定形関係節(縮約関係節と不定詞関係節)の統語的共通点と相違点をまとめる。
(2)について、非制限関係節の先行研究を調査する。具体的にはDe Vries (2006)などの主要文献を精読し、論点を整理する。また、先行研究の分析の問題点等をまとめる。さらに、非制限関係節の分析に非定形関係節の分析が適用できるか検討する。適用できないという結論に至った場合、新たな分析を検討する。
(3)について、Chomsky (2019)を精読することでMERGE理論の理解を深める。また、学会や研究会への参加による人的交流から最新の研究情報を得る。MERGE理論に基づいて、非制限関係節の統語特性がどのように説明できるか検討する。
(1)と(2)と(3)の研究の成果として研究発表や論文発表を行う。いただいたフィードバックに基づき、必要に応じて仮説に修正を加える。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] On Non-Finite Relative Clauses2021

    • Author(s)
      Takahiro Tozawa
    • Journal Title

      Studies in English Linguistics and Literature

      Volume: 31 Pages: 265-286

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 非制限関係節の統語分析2022

    • Author(s)
      戸澤隆広
    • Organizer
      北海道理論言語学研究会
  • [Book] ことばの様相2022

    • Author(s)
      島 越郎、富澤 直人、小川 芳樹、土橋 善仁、佐藤 陽介、ルプシャ コルネリア (編)、戸澤隆広、他 (著)
    • Total Pages
      416
    • Publisher
      開拓社
    • ISBN
      978-4-7589-2366-8

URL: 

Published: 2022-12-28  

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