2021 Fiscal Year Research-status Report
An predicate NP analysis of null operators and its consequences
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21K00565
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
富澤 直人 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (40227616)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 内包形容詞 / 演算子移動 / tough構文 / 主語条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要な問いの1つは、「空演算子構文において空演算子と便宜的に呼んでいる要素が、実際にはどのような統語構造を持った要素であるのか」という問いであり、作業仮説として、「空演算子=述語NP」という仮説を立て、この述語NPの移動分析を検証している。 まず、述語NP移動の操作によって、内包形容詞(intensional adjectives)のlikelyやseemingを使った名詞表現(the likely paradoxやthe seeming paradox)が、下記(1)の基底構造から述語NP(a paradox)の移動によって生成されることを示した。また、この分析は、例えば*the becoming parentsが生成不可能であることに原理的な説明を与えることを示した。この派生プロセスは、過去分詞型のthe alleged millionaireやbeを含む派生形容詞the would-be senator等の派生を担っていることを提案済みであり、今回、この述語NP移動が、一般に考えられている以上に一般性の高い操作であることを示した点に意義がある。 (1) [ __ likely/seeming [ __ to be [ [x] [a paradox]]]] 次に、英語のtough構文において、「空演算子=述語NP」とする作業仮説に立って、本構文の諸特性を分析し直している。特に、述語NPが、これを包括するDPから摘出される分析は、その直接的帰結として、例文(2)と(3)のいずれもが主語条件違反により非文法的になることを説明できるが、さらに、それ以外の帰結を探っている。 (2) *?Mary is hard for me to believe __ kissed John. (3) *The girl is easy __ to convince Mary.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究スタート時は、述語NP移動が、alleged/claimed/purported/reported等の過去分詞型の派生形容詞、および、would-be/to-be/wannabeのbeを内在する派生形容詞のみに見られる現象と見ていたが、単純形容詞likelyや現在分詞形seemingでも同様の現象が確認でき、また、beを内在するgonnabe/has-been等でも広く確認できる現象であることを明らかにすることで、be節を内包する構造あるいはbe節そのものの構造(つまり、be構文、受動構文、上昇構文)という自然類における一般的現象であることを示せた点は収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
tough構文における述部NP移動分析を引き続き行い、述部NPの移動元のドメインおよび移動先のドメインのそれぞれで、本分析の帰結を示す研究を推進する。 移動元のドメインでは、述部NPとそれを包括するDPの構造から得られる帰結を探る。 移動先のドメインでは、述部NPがDPへと写像される仕組みを研究する。これは、いわゆるLate Merge分析の代案になるものとの見通しを持っており、再構築化現象の有無に直接的に関わる箇所である。 後者の研究にあたっては、tough構文の分析と並行して、関係節形成の分析を実施して、NPからDPへの写像の仕組みの一元的な体系の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
旅費として計上していた100,000円が、新型コロナウイルスによる行動規制の中で、未執行であったため、他費目において執行済みの金額と差し引きして、次年度使用額として合計109,306円が発生した。 これを翌年度分の使用計画に計上し、75,500円を論文執筆料に充て、残り33,806円は物品費に充当する計画である。
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Research Products
(1 results)