2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K00570
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
松山 哲也 和歌山大学, 教育学部, 教授 (90315739)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分離素性継承 / because節主語 / 非規範的主語 / 疑似分裂文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、一見Chomsky (2013)のラベル付け計算法に違反するような非規範的主語構文に対して、Citko et al (2018)が提唱する分離素性継承を採用することで自然な説明を与えることであった。本年度は、because節主語構文に着目し、その特異性に理論的な分析を試みた。Because節主語が外的分布に関して主語性を示すにもかかわらず、数の一致を示さない問題に対して分離素性継承から解決を試みたが、because節主語がFinの指定部を占めるという不自然な想定をせざるを得なくなった。そこで、統語論ではラベル付けの曖昧性が許容され、ラベルはインターフェイスで決められるというMizuguchi (2019)の考えをもとに、上記の不備を解決し、because節主語の特異性に自然な説明を与えた。さらに、上記の分析を叙述的疑似分裂文に拡張し、この構文が主語性を示すにも関わらず、数の一致を示さない問題を捉えることを試みた。その成果は、Ambiguous Labeling and Non-Agreeing Subjects (日本英語英文学 32 79-92 2022年12月)に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、Ambiguous Labeling and Non-Agreeing Subjectsの論考を 『日本英語英文学』( 32号 79-92 2022年12月)に公表し、日本英語英文学会第32回年次大会(オンライン 2023年3月4日)で「英語の指定的疑似分裂文の単一節分析」という研究発表を行った。当初の研究目的は果たしている点で、研究はおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本英語英文学会第32回年次大会で行った研究発表(「英語の指定的疑似分裂文の単一節分析」)の内容を修正し、本年度中に論文として学術誌に投稿する予定である。同時に、倒置指定文についても研究を進め、研究成果を学会で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
参加予定の学会がすべてオンライン開催となったため、その分の旅費を使わなかった。請求した助成金は、英語論文の校閲料や学術書の購入に充てる予定である。
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