2023 Fiscal Year Research-status Report
A comparative Study of Japanese and English Linking words with Similar Functions
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21K00576
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
西川 眞由美 摂南大学, 国際学部, 教授 (00411702)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | つなぎ語 / 機能的意味 / 語用論 / 同格 / 対照 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究内容は、まず2022年度の「対照」と「同格」に関する日英2言語のつなぎ語の比較・対照研究として、英語で最もよく使用されている語彙項目とその日本語の訳語の対応と、その量的・質的な関係性について分析と考察を行い、口頭発表や論文として発表する予定だった。さらに、「話題転換」「論理的・推論的結論」を表すつなぎ語に関しては、出版した「英語談話標識の姿」という著書の中において、その分析内容を一部発表した。これらにより、中・上級の英語学習者のコミュニケーション能力の向上にとって有意義な情報を提供できたものと考えている。 さらに、2023年度には、英語の小説と日本語の訳本から、様々な日英のつなぎ語のうち当該文脈において「話題転換」「論理的・推論的結論」の機能を有する日本語と英語のつなぎ語を観察し、その分析と考察を詳細に行うことにより、2言語の類似したつなぎ語の間にある機能的相違を明らかにすることである。分析においては、特に、①何と何を関連付けているのか、②主にどのような談話の節目で、あるいは文脈で使用されることが多いのか、③話し手のどのような感情や態度を伝えるのか、④対人関係に関する機能はあるか、もしあるとしたらどのようなものか、といった4つの視点から詳細に分析を行うことである。 これらについては、それぞれ、英語の小説や映画の台詞とその日本語版での訳語から実例のデータを収取し、日英言語の類似した機能を持つつなぎ語どうしの対応に基づき、分析を行っている。それらをまとめ、2024年度中には論文にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度も、昨年度から続く「英語談話標識」の出版に伴う執筆と確認作業、数研出版社から出版されている高校のテキストの確認作業に追われ、特にかなりのデータ収集を広範囲のジャンルから収集する必要があったので、、その機能の説明、他の類似表現との使い方の比較、研究書との整合性の確認等にかなりの時間を要した。 2024年度予定していた日英2言語における「話題転換」や「論理的・推論的結論」の機能を持つつなぎ語の研究に関しては、それぞれの2言語での先行研究の確認作業から、小説や映画の台詞等からの用例探しやある程度の分析を進め始めているが、まとめて発表したり論文にするには至らなかった。 そのような中でも、同じ専門分野の研究者たちとのオンラインでの意見交換や情報交換は行い、当初の予定にあった半分以上のつなぎ語に関しては研究資料をまとめることができた。「話題転換」や「論理的・推論的結論」をに関与するつなぎ語の分析もできるだけ早くまとめて発表したい。また、発表や論文だけでなく、次に出版を予定している「英語談話標識使い分け辞典」(仮称)にもその成果を反映したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここ数年間執筆と修正・確認作業を繰り返してきた学習英和辞典と「英語談話標識の姿」に関しては無事出版も終わり、一連の作業が終了し一段落したので、2023年度から先行研究の確認や用例収集に取り組んできた「話題転換」「論理的・推論的結論」のつなぎ語の分析と考察をまとめる予定である。特に「論理的・推論的結論」を表す英語の代表的な談話標識であるsoとthenについては十分な研究実績があるので、昨年度進めてきた日本語の談話標識の分析と考察を急ぎつつ、最終的な機能の違いをまとめていきたい。 さらに2024年度に研究予定の「理由」「強化」の機能日英2言語の談話標識の比較研究においては、これまで行ってきた談話標識と異なり自分自身の研究実績が極めて少ないので、まずは国内外のさまざまな研究者の先行研究をまとめるところから始め、広い観点からそのふるまいを観察し、一見類似しているように思われる機能の中にあるわずかな差異を見つけ出しつつ分析を進めたい。さらに、現在執筆中の「英語談話標識使い分け辞典」(研究社から出版予定)の考察においても、これらの研究成果との相乗効果を考慮しつつ研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度、2023年度と国際学会での発表や聴講を予定していたが、役職業務から来る時間的・体力的制約とコロナ禍で海外渡航における規制がまだ強かったため、参加することができなかった。そのため昨年度の国外旅費の未使用分が生じた。また、国内学会の多く(特に中・小規模の学会については)はまだオンライン会議で開催されることが多く、国内旅費についても当初計画していた額よりはるかに下回った。 2024年度は、できれば国際学会の発表や聴講を行い、また国内学会に関しても対面実施が増えると思うので、現地での参加を計画し、できるだけ多くの研究者たちと直接情報交換や意見交換を行うことを考えている。加えて、国内外の学会や研究会での積極的な研究成果の発信を目指すこととしたい。
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