2021 Fiscal Year Research-status Report
A theoretical and experimental study of the phasehood of finite clauses in natural languages
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21K00579
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
三上 傑 大東文化大学, 外国語学部, 講師 (60706795)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 定形節 / フェイズ性 / 収束性 / Strong Uniformity / 素性一致システムのパラメータ化 / 主語卓越言語 / 焦点卓越言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然言語における定形節のフェイズ性に関して、「収束性(Convergence)」に基づく定式化の下、主語卓越言語と焦点卓越言語の間でパラメータ化されるという新たな見方を提示し、現代語間の共時的変異や英語の通時的変化に対して統一的な説明を与えることで、本研究仮説の妥当性を立証することを目的としている。そして、この最終目標に向け、①理論の精緻化と焦点卓越言語における定形節の非フェイズ性に関する考察、②焦点卓越言語における焦点節のフェイズ性と名詞句のフェイズ性(DPフェイズ)への応用可能性に関する考察、③他言語への応用可能性とさらなる理論的意味合いの考察という三段階に分けて実施する研究計画を設定している。 研究初年度である令和3年度は、当該仮説から導き出される焦点卓越言語における定形節の非フェイズ性について実証的考察を行った。具体的な分析対象としては、受動虚辞構文(Passive Expletive Construction)を取り上げ、その通時的変化を捉えることで、当該仮説の妥当性を立証することを試みた。また、本研究はその研究過程で、現代英語と類型論的に異なる特性を示す焦点卓越言語に着目し、その普遍性と相違性を明らかにすることで、生成文法理論の様々な理論的課題に対して答えを与えることになる。本研究課題の学術的意義をより明確にするため、生成文法理論おける日本語(焦点卓越言語に分類)研究が果たすべき役割とその可能性についても考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度である令和3年度は、本研究で提示した仮説から導き出される焦点卓越言語における定形節の非フェイズ性について、英語における統語構造の通時的変化を捉えることで、その妥当性を立証することを目指した。具体的な分析対象としては、受動虚辞構文(Passive Expletive Construction)を取り上げ、本研究仮説の下、その通時的変化を捉えることを試みた。しかしながら、研究を進める中で、当該構文が理論的・経験的に非常に重要な意義を有し、とりわけ現代英語に関しては、押さえるべき特性が多数存在することが明らかとなった。その結果、先行研究及びそこで論じられているデータの精査等に、当初想定していた以上の時間を要してしまい、研究成果を論文としてまとめることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度については、前年度まとめることができなかった焦点卓越言語における定形節の非フェイズ性に関する英語の通時的変化を対象とした実証的研究について、新たに明らかとなった理論的・経験的問題点を詳細に検討しながら、さらに進めていく。 また、焦点卓越言語における焦点節のフェイズ性についても実証的研究を実施する。具体的な分析対象としては、日本語のいわゆる「主語条件(Subject Condition)」を想定している。本研究仮説の名詞句のフェイズ性(DPフェイズ)への応用可能性の検証も兼ね、名詞句の焦点性の有無とその内部からの抜き出し操作の適用可能性について詳細に検討する。
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