2021 Fiscal Year Research-status Report
A Top-Down Approach to Licensing of Various Syntactic Elements
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21K00583
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
寺田 寛 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90263805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トップダウン式派生 / 随伴現象 / 動名詞 / 最小探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は、Noam Chomskyの提唱する言語理論において提案されている最小探査(Minimal Search)という操作を検証し、派生をトップダウン方式で生み出す分析を支持する立場から、言語現象ごとに異なっている認可方法に有効な手段であるかということを問い直すことである。 令和3年度(2021年度)は、令和元年度(2019年度)から考察を続けている随伴現象を究明することに重点を置いて研究を進めた。随伴現象においては、Brattico and Chesi (2020)によるトップダウン方式の派生を用いた二次的Wh移動を伴う随伴現象についての説明が提案されており、その問題点について考察し、先行研究と比較した。平成30年度(2018年度)からトップダウン式の構造構築において働いていると思われる拡張条件(Extention Condition) という原理に加えて、これまでにChomskyの言語理論で働いているとされてきた介在制約(Intervention Constraint)を用いて、この現象をより一般的な原理から説明できることを論文の中で論じた。 また動名詞において、ボトムアップ方式の統語派生は付票貼付(labeling)はどのように行うのかについて共同研究者とともに共著論文の中で考察した。この論文の中では動詞が補部を選択する特性を用いて、節型動名詞がテンスを欠いているという主張を行った。 動名詞の研究においては動名詞のラベルの決定に際して最小探査を利用しているため、最小探査を支持することになった。随伴の研究においては必ずしも最小探査に依存するわけではない。最小探査が支持されるかどうかについての結論は今後の研究において考察を続ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動名詞のラベル貼付の問題をどう解決するかを考察する共同研究においてはトップダウン式の派生ではどう解決すべきかということについて十分な考察に至ることができず、ボトムアップ式の派生による解決策を考察するにとどまった。 随伴現象における二次的Wh移動の分析については、先行研究の問題点を考察し、代案として介在制約を用いれば先行研究で説明できなかった問題点を解決することができることを論じることができた。しかし、研究はそこまででとどまっており、最小探査の問題点についてさらに研究を推し進めるだけの時間的な余裕がなかった。 また、どちらの研究においても、取り扱った現象が必ずしも最小探査の位置づけについて決定的で直接的な結論を下せるようなものでないことが、研究を進めていくうちに明らかになった。今後は、さまざまな言語要素の認可に目を向け、より直接的な証拠を与えることができるよう、言語現象をさらに広げていくべきであるという課題が見えてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
Chomskyの言語理論は2015年のものを考察してきたが、ここ数年の間に様変わりを見せた。新たな理論の枠組みを把握し、それを支持できるような言語研究の方向を模索しているところである。 すでに昨年度末から、日本語の複合動詞がどのような派生を経るのか、どのような制約を必要とするのかということを、Chomskyの最新の分析に照らしながら共同研究の中で考察を進めている。 さらに、それとは別に随伴現象において説明できなった非制限的関係節の特殊なふるまいや、否定極性表現の認可や代名詞束縛などの認可においては最小探査で説明できないものがあることに注目し、最新のChomsky理論との比較を行いながら、トップダウン式の派生による統語理論の開発を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大により、学会がすべてオンラインで開催され、旅費や宿泊費がかからなくなったことに加えて、予想していた研究書があまり出版されなかった。例年であればより多くの研究書が出版される。このような理由で、資料を収集するうえで費用を充てることができなかった。 さらにコロナウィルスの感染が2022年度の早い時期に終息すれば学会参加に旅費や宿泊費を充てる必要があるのではないかと考えられる。また国際情勢の変化により、物資の高騰が現実的なものになる中で、書籍やソフトウェアやハードウェアの値上げも予測されるため、物価上昇を見据えて翌年度に研究費の不足という事態に陥らないよう対策しなければならないと考えるに至ったためである。
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Research Products
(3 results)