2022 Fiscal Year Annual Research Report
近代英語における「重複複合語」の研究:社会言語学の視点を交えて
Project/Area Number |
21K00585
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
脇本 恭子 岡山大学, 教育学域, 教授 (00258295)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | reduplication / 語形成 / Samuel Richardson |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、初期近代英語期から後期近代英語期 (LModE) の作品を主な資料として(必要に応じては現代の作品も比較し)、語形成の中でも特に重複複合語 (reduplicative compound) に焦点を当て、その特徴と用法を調査・分析することである。この重複複合語とは、同一もしくは類似した音節が反復して結合するものであるが、本研究では、音韻論的・形態論的な面に加え、使用者の性別や階級においても差異が見られるかについても検討の対象とした。作家は意識的であれ無意識であれ、登場人物の心理・性格描写や文脈に即した言葉を選択するが、重複複合語を用いることにより、どのような文体的効果が期待されるのか吟味・考察を試みた。 令和3年度では時代やジャンルの異なる資料を社会言語学及び英語教育の視点から思案する中で、語形成による造語として、混成語 (blend) や音節重複形容詞形 (reduplicated adjectival form) に触れた論考を発表した。令和4年度は LModE 期の Samuel Richardson の書簡体小説を資料に、初期の作品と後期の作品で使用状況に違いが見受けられるか、Pamela (1740-41)、Clarissa Harlowe (1747-48)、Sir Charles Grandison (1753-54) からそれぞれ例を集め、語源や語の意味の把握と共に使用者やコンテクストとの関連性についての考察を図った。 本研究は当初3年間での計画であったが、勤務校での定年退職に伴い、研究計画の最終年を残し中途での課題廃止となった。Richardson の書簡体小説はそれぞれ長編で、データを集めるのにかなりの時間を費やすことになったため、今後に向けては、この収集したデータを整理し分析結果をまとめていくことで、成果の具体的な発表としていきたい。
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Research Products
(1 results)