2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K00593
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中川 聡 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (90566994)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | vP構造 / 動名詞補部 / 原形不定詞補部 |
Outline of Annual Research Achievements |
TP欠如動名詞を補部に選択する動詞のうちbeginに焦点を当てて研究を進めた。先行研究ではbeginの補部に動名詞が選択され始めた時期は後期中英語であると主張するものと、後期近代英語であると主張するものとに見解の相違が見られたので、どちらの時期がより適切なのかを明らかにするために、コーパス調査を行った。その調査において、初期近代英語においてbeginの補部の動名詞が選択されている用例が観察されたため、後期中英語が動名詞補部の初出時期であるという主張の方が妥当であることが示された。 beginの補部に選択される動名詞は、その構造にTを欠いているvP構造であることがPires (2001)により示されているが、何故そのような構造であるのかということも上述の初出時期との関連で説明されることを示した。すなわち、中英語期までbeginはその補部にto不定詞と原形不定詞を選択していたが、原形不定詞に取って代わる形で動名詞補部が選択されるようになったことがその理由であると主張した。原形不定詞の構造はvPと分析されており、その機能を引き継ぐ形で動名詞がbeginの補部に後期中英語から用いられ始めたため、その補部として選択される動名詞の構造もvPであると分析した。 この研究成果により、beginの補部での動名詞の初出時期が明らかにされると同時に、Tを構造に欠いている動名詞の発達過程の一端が示されたため、TP欠如動名詞の史的発達に新たな知見が広げられたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TP欠如動名詞を補部に選択する動詞のうち、1つの動詞に関する分析しか行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はTP欠如動名詞を補部に選択する別の動詞に焦点を当て、その補部におけるTP欠如動名詞の発達過程を明らかにする。また、個別の動詞の補部における発達過程の分析を通して、より一般的なTP欠如動詞の史的発達過程も考察する。
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Causes of Carryover |
参加を予定した学会の多くがオンラインで開催され、旅費を使用する機会が少なくなってしまったため。
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