2021 Fiscal Year Research-status Report
外国籍の子どもと保育者をつなぐ日本語コミュニケーション支援教材の開発
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21K00601
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
柏 まり 佛教大学, 教育学部, 教授 (30373145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和順 佛教大学, 教育学部, 教授 (10413436)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外国籍の子ども / 日本語コミュニケーション / 保育者 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,わが国で暮らす,すべての子どもの健全な育ちを支える教育・保育の質的保障を目指し,日本語に課題を持つ外国籍の子どもと保育者をつなぐ日本語コミュニケーション支援教材を開発するとともに,教材のICT化を図るものである。具体的には,第一に,日本語でのコミュニケーションが難しい外国籍の子どもを保育する担当保育者が抱える困難性を顕在化することで,日本語支援が必要な子どもの集団保育に対応した日本語コミュニケーション支援教材を開発する。第二に,多様な言語に対応し,日本語での対話や子どもの感情理解を円滑にするため,開発された日本語コミュニケーション支援教材のICT化を試みる。外国籍の子どもの保育に内在する実践的課題に対応する日本語コミュニケーション支援教材の開発は,保育の国際化の実現に相応の提言となり,その教材をICT化する試みは,子どもと保育者との対話を円滑にするとともに,日本語の読み・書きや対話が難しい保護者への支援及び保育者の保育業務の効率化推進の一助となるものと考える。 本年度は,日本で暮らす外国籍の子どもの保育に着目し,すべての子どもが等しく学ぶ権利を保障するために必要な支援の在り方について検討を試みた。具体的には,外国籍の子どもの保育及び教育に関連する先行研究を手掛かりとして,多文化共生社会の実現のための視座を把握する試みである。研究成果として,先行研究を概観し,(1)外国籍に子どもの保育を行う上での課題,(2)外国籍の子どもの保育を行う上で求められる支援,について把握することができた。具体的には,①日常生活に必要な言葉の理解と生活様式の獲得,②母国語・母国の文化の教育と保育園全体での共有,③自尊感情の尊重,④保護者と子どもとの繋がり,⑤保護者への子育て支援,である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,先行研究を概観し,外国籍の子どもの教育・保育の実態における担当保育者の実践的課題について抽出を試みた。具体的な支援ニーズとして,①日常生活に必要な言葉の理解と生活様式の獲得,②母国語・母国の文化の教育と保育園全体での共有,③自尊感情の尊重,④保護者と子どもとの繋がり,⑤保護者への子育て支援,の5つの項目を抽出することができた。 本年度は,主担当者の所属移動があり,全国調査の実施時期を次年度に変更しているが,調査の準備は完了しているため,速やかに調査に着手する予定である。具体的には,全国規模の保育施設(幼稚園・保育所・認定こども園)を対象として,WEB調査の手法を用いて外国籍の子どもの在園状況について調査する。外国籍の子どもの就園状況の調査は,必要であるとされながらも未実施であり,保育の実情や課題の顕在化に加え,先進事例の掘り起こしは喫緊の課題であるため,本研究の早急な実施が望まれる。 具体的には,全国規模のWEB調査により,次の4項目について実態を明らかにする。①外国籍の子どもの在園状況及び日本語支援の必要性に関する実態,②外国籍の子どもの保育に関する課題,③外国籍の子ども・保護者に対する支援内容,④外国籍の子どもの保育を実施する際に必要となる支援内容,についての4項目を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,全国規模の保育施設(幼稚園・保育所・認定こども園)を対象として,WEB調査の手法を用いて外国籍の子どもの在園状況について調査を実施し,把握されたデータの分析を行う。具体的には,全国規模のWEB調査により,次の4項目について実態を明らかにする。①外国籍の子どもの在園状況及び日本語支援の必要性に関する実態,②外国籍の子どもの保育に関する課題,③外国籍の子ども・保護者に対する支援内容,④外国籍の子どもの保育を実施する際に必要となる支援内容,についてである。 また,この調査で顕在化された外国籍の子どもの保育に関する課題を踏まえ,単なる翻訳ツールとしてではなく,保育実践に有用となる日本語コミュニケーション支援教材(絵カード)を開発する。具体的には,保育実践に求められる日本語コミュニケーション支援教材として5つのカテゴリーを想定し,それぞれの言葉と絵を対応させた視覚的支援教材(絵カード)を開発する。①外国籍の子どもの感情理解,②生活習慣に関する行動理解,③集団生活場面に求められる行動理解,④子ども同士の関係構築に求められる行動・感情理解,⑤保育で使用する場所・物に関する理解,に関する項目に着目し,保育現場の保育者とともに研究を進めることとする。
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Causes of Carryover |
本年度は,新型コロナウイルスの感染拡大の影響により,予定していた学会がすべてオンライン開催となったことに合わせて研究主担当者の所属先がかわり,旅費の支出ができない状況であった。今後は,移動制限も緩和され国内出張については感染状況を鑑みながらではあるが,実行できるものと考えている。 また,予定していた全国調査の実施が次年度以降の実施となったため,人件費・その他経費の支出ができていない状況であるが,調査の準備は完了しているため,今後速やかに調査を行い,調査データの分析を試みる予定である。
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