2023 Fiscal Year Research-status Report
ハイフレックス・モデルを見据えた日本語教師の養成および研修モデルの構築
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21K00607
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
藤本 かおる 武蔵野大学, グローバル学部, 准教授 (20781355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尹 智鉉 中央大学, 文学部, 教授 (40434352)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日本語教育 / ハイフレックスモデル / 同期型システム / 教師研修 / 教育へのICT活用 / 教室デザイン / 授業デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、実際にICTを積極的に活用している日本語学校の中枢にいる対象者にインタビューし、それをまとめ発表を行なった。日本語学校経営者2名、教務主任1名、加えて義務教育現場の校長に対してもインタビューを行ったが、これらのICT活用に積極的な組織運営者は、日本語教師・教師としての経験を積む中で、かなり早い段階でコンピュータの教育利用に注目していたことが明らかになった。そして、積極的に情報収集を行い、自身のICTスキルを高め、その結果他より先駆けてICTを活用できるようになっていた。そして現在では、自分だけでなく現場の教師全体へのサポート体制を構築し、自分の力の及ばない部分は、専門家の力を借りるなどしていた。 現場の教師への調査では、ハイフレックスの下地になる同期型システムを使ったオンライン授業において、教師がオンライン授業の良さだと思うものは、同期型システムを使うメリットではなく、授業にICTを活用するメリットであることがわかった。また、コロナ禍において教師がオンライン授業を行う時に非常に不満に思っていたことは、教師が学生を見守れないことに起因していることが多かった。そして、ハイブリッドもしくはハイフレックス型の授業を行なっていた教師への調査から、ハイブリッドもしくはハイフレックス型の授業では、教師の授業活動の工夫だけでは不足で、教室設備をそれ用にきちんと整備しないと効果的な授業ができないことが示唆された。以上から、ハイフレックス型の授業を行うためには、教室設備やICTを授業にきちんと活用できるような教師研修を行うことが必要である。しかし、それは現場の教師の力だけではできることではない。組織運営者のICTに関する知識や考え方に影響されていると言える。 加えて、そして、昨年度に続き大学院授業も継続して行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度から継続して行なってきた調査をまとめ、発表することができた。そして、国際会議や学会に参加する中で、さまざまな現場の教師とやりとりをし意見交換を行なった。加えて、現地に行くことで、それぞれの国におけるICT環境などを直に知ることができた。 また、基調講演や教師研修なども担当し、これまでの調査から得られた知見を現場に還元している。現在、ほとんどの教育現場はオンラインから対面授業に戻っているが、それでもICT活用やオンライン授業に対しての教師の悩みは無くなったわけではない。むしろ、オンライン授業などを行わなくなったからこそ、どうすれば良かったのかと内省している教師は少なくない。そして、ICTをどう対面授業に使っていくかという点に悩んでいる教師も多い。そのような現場に対して、オンライン授業の振り返りを促し、自分の対面授業にどのようにICTを取り入れるか、WS形式の研修を行なった。 大学院の授業に関しても、前年度の反省点を踏まえ微調整を行なった。その結果、ICTを授業に取り入れる際に気をつけなければいけないことが、履修生にとってより明示的になったと思われる。次年度以降も微調整をしつつ、体系化を目指す。 以上から、研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までは調査及び発表を主にしたが、今年度は最終年度であり、引き続き調査実践を続け、発表を行う。そして、それらを論文としてまとめ発表の準備を進める。 単発の教師研修などの依頼から、対面授業に戻り落ち着きを取り戻した中で、オンライン授業やICTの活用を見つめなおし、改めてどのように活用するかを模索している状況がうかがえる。そのため、本研究において、どのような項目を研修に取り入れるべきかを具体的に提示できるよう最終年度として、研修モデルをまとめる。
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Causes of Carryover |
1年目2年目に、調査や学会参加ができなかったため、経費を消化することができなかった。2年目後半から現地調査に行くことができ、昨年は積極的に学会参加等をしている。本年度も引き続き、積極的に発表をし、必要があれば追加調査なども計画している。
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