2021 Fiscal Year Research-status Report
外国人就労現場における「対話型日本語評価活動」と「職場支援プログラム」の開発
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21K00610
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
大平 幸 立命館アジア太平洋大学, 言語教育センター, 講師 (80776831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 郁代 関西学院大学, 法学部, 教授 (40434881)
藤浦 五月 武蔵野大学, グローバル学部, 准教授 (30803663)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 定住外国人就労支援 / 職場の日本語能力指標 / 対話型評価活動 / ワークショップ / 職場支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、「職場における能力指標Can Do Statements(以下Cds)」開発を進めつつ、Cdsをもとにした「職場支援のためのワーク」の開発を進めた。 ワーク開発においては、月1回のペースでミーティングを行い、「職場支援のためのワーク」の開発を行っている。現在、指示場面のCds(「指示の出し手」と「指示の受け手」)項目に対応したワークの開発を行っている。令和3年度は、コロナ禍の影響を受け、実際の職場におけるワークの試行が対面で行うことができなかった。しかし、オンラインを通じ、協力者を募ってワークの体験会の実施を行った。また、地域の国際交流協会と共催で外国人就労セミナー(オンライン開催)を企画し、セミナーにおいてワークを実施した。参加者から得られたフィードバックをもとにワークの改善に役立てている。オンラインを通じたワークの実施は、ポストコロナを見据えた活動の形態の探求に貢献するものと考える。 コミュニケーション分析においては、接客場面及び指示場面の分析を行っている。令和3年度は、「接客場面」及び「指示場面」における互行為分析を行った。再度、「指示場面」に注目したのは、Cdsのあり方を再考し、業務内容ではなく、場面と行為を中心とした新たなCdsの形態を検討するためである。この指示場面における分析を、新たなCdsの形態を探るための基礎研究と位置づけ、月1回のデータセッションを継続して行っている。分析の結果を踏まえ、Cdsの開発をさらに推し進めていく
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、「接客場面」、「指示場面」における「コミュニケーション分析」、およびCdsをもとにした「職場支援のためのワーク」の開発を進めた。 【職場支援のためのワークの開発】令和3年度は、「指示場面」特に「指示の出し手」「指示の受け手」の「職場の日本語Cds」に対応したワーク開発をおこなった。コロナ禍の影響を受け、実際の職場におけるワークの試行は行えなかったが、協力者を募り、ワークの体験会を実施することで、参加者からのフィードバックを得ることができた。また、その後、地域の国際交流協会と共催で外国人就労セミナーを企画し、セミナーにおいてワークを実施した。新たなワークの開発を行いつつ、このようなワークの試行を重ね、そこから得られたフィードバックをCds及びワークの改善に活かしていきたい。さらに、令和3年度は、日本で仕事をしている定住外国人の方に、職場での経験についてインタビューを実施した。現在インタビューの結果をもとにしたワークの開発も進めている。 【職場におけるコミュニケーションの分析とCdsの開発】令和3年度は、月1回のデータセッションを行い、「接客場面」及び「指示場面」における相互行為分析を進めた。再度の指示場面への注目は、次のような理由によるものである。①指示場面は、あらゆる職場に見られるもので、職場のコミュニケーションの基礎をなすものである。②指示場面でのミスコミュニケーションは直接仕事の遂行に影響を及ぼす重要なものでもある。したがって、再度指示場面の分析をさらに詳細に分析することによって、職場のコミュニケーションの阻害要因やコミュニケーション方略を探ることは、一定程度の普遍性をもち、他の場面への応用可能性をもったものと言える。この指示場面における相互行為分析を、場面と行為を中心とした新たなCdsの形態を探るための基礎研究と位置づけ、さらなる検討を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、外国人コミュニティでのインタビュー、およびワークを実施することにより、職場や業種の枠を超えて、働く定住外国人の方々の対話の場を作ることを目指す。また、「職場におけるコミュニケーションの分析」及び、「職場支援のためのワークの開発」を継続して行っていく。 【職場支援のためのワークの開発】令和4年は、インタビュー調査にも力を入れたい。より具体的には、日本で暮らす外国人のコミュニティにアプローチし、日本で仕事経験を持つ定住外国人に聞き取りを実施する。インタビューの結果は、ワーク開発に反映させていく予定である。この、外国人コミュニティで聞き取り、およびワークを実施することにより、職場や業種の枠を超えて「働く定住外国人の方々の対話の場」を作ることを目指す。また、「職場の日本語Cds」に対応したワーク開発は引き続き進めていきたい。 【ワークショップ型職場支援プログラムと教材の開発】令和4年は、ワークショップ型職場支援プログラムと教材の開発に着手する。すでにこれまでに開発したワークの教材化を試行している。令和4年は、教材の内容を精緻化し、職場支援プログラムと教材開発を進める。 【職場におけるコミュニケーションの分析とCdsの開発】令和3年度は、「接客場面」に加え、再度「指示場面」に焦点をあて、相互行為分析を行った。令和4年は、指示場面のより詳細な分析を行うことにより、職場における他の業務、他の業種にも共通するコミュニケーションの阻害要因を抽出し、応用可能なコミュニケーション方略を探る。その結果をもとに「職場の日本語Cds」の開発を進める。
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Causes of Carryover |
令和3年は、コミュニケーション調査の実施が困難であったこと、また、学会の中止やオンライン開催により、当初予算化していた研究成果発信のための費用(旅費等)が使用できなかったため、次年度使用が生じた。令和4年、より広範な業種の職場におけるコミュニケーション調査の実施の可能性は探っていくが、コロナ禍における新たな調査実施は困難な状況が予想される。したがって、次年度使用が生じた予算に関しては、以下3点に投入する計画である。 【職場支援のためのワークの開発及び試行】協力団体との連携を進め、職場支援セミナーの実施を行う。予算は、就労セミナー実施にあて、ワークの試行や改善に役立てる。また、協力機関や団体のネットワーク拡大につなげる。 【ワークショップ型職場支援プログラムと教材の開発】令和4年は、職場支援プログラムと教材開発を進める。教材はモジュール化し、モジュール単位で媒体化を行う。次年度使用が生じた予算は、モジュール化した教材の媒体化に使用する。
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