2021 Fiscal Year Research-status Report
在日中国人長期滞在者における文化変容方略の選択-言語管理理論による検討
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21K00613
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
趙 師哲 山口大学, 教育・学生支援機構, 助教 (90783366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (40227153)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異文化適応 / 中国出身長期滞在者 / 日本語使用 / 日本語母語話者 / 言語管理 / 文化変容方略 |
Outline of Annual Research Achievements |
「R3研究の具体的内容」 まず、日本における中国出身長期滞在者3名に、それぞれ6場面(返品交換、退職挨拶など)のロールプレイを協力してもらった。次に、パイロット調査として、6名の日本人の社会人に面接調査を行った。上記3名の中国人の録音を聞いて、評価してもらった。語りをKJ法で分析して評価カテゴリを言語能力と社会言語能力と分類した。その後、日本語を母国語とする人に対して、先行文献を参考して質問紙を作成した。言語能力は、「発話者が伝えようとした内容を理解できた」などの10項目で構成され、社会言語能力は「この発話は友好的に聞こえた」などの8項目で構成される。すべての項目は4件法で評価してもらった。その後、外国人の日本語レベルに対する期待は、接する機会(親密さ)と関係があると考え、極めて少ない、少ない、多い、とても多い、のいずれかを選んでもらったうえでアンケートに協力してもらった。まだ途中だが、150名のデータを集まることを目指している。
「R3研究の意義と重要性」 本研究では、中国出身の日本長期滞在者を対象に、彼らのホスト社会との関わりを通して、言語管理が文化変容方略の選択機序を左右するとの仮説を検証する。そのため、中国出身者の日本語での音声データや日本語誤用例が必要である。発話に対して、数名の日本語母語話者による評価で質問紙項目を作成し、より大きなサンプルで評価してもらうことは、日本語母語話者が外国人の日本語に対して、どのような態度を持っているかが分かる。また、親密さの程度によって、ホスト側の受け止め方がどのように変わるかが分かる。 今後の調査では、これらの評価を中国出身長期滞在者に呈示し、評価がポジティブかネガティブかによって、日本人との交流や日本語学習の意欲が変化するかどうかを実証する。そのため、初年度で日本語母語話者の評価を集めることが本研究の基礎となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
職場が変わったため、研究協力者を集めるのに予想より時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、途中である日本語母語話者向けの質問紙調査を完了させる。想定した外国人と自分との関係の親密さによって、グループを分けて一要因の分散分析を行う。外来性を含む日本語使用への評価の群間比較を行う。親密さの程度によって、ホスト側の受け止め方がどのように変わるかが分かる。 次に、集まった日本語母語話者の評価を150名の中国出身長期滞在者に呈示し、構造化インタビューの形で、受け取る側の印象としてどの程度嬉しい気分・嫌な気分になったかを尋ねる。その後、この人とのこれからの付き合いにどれほど影響するか、今後の日本語学習に対してどう思うかについて聞き取る。語りはKH Coderで分析し、仮説に沿った結果が認められるかを検討したうえで、語りの詳細から、評価と交流と語学学習の意欲の間をつなぐ心理的な機序を考察する。
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Causes of Carryover |
R3年度に職場が変わったため、アクセスできる協力者集団が変化した。そのため、質問紙調査が予定より遅れてしまった。次年度に、質問紙調査のデータに基づき、学会発表をすることと、論文を執筆することが待たれる。「次年度使用額」を学会発表の旅費と英文論文の校正で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)