2022 Fiscal Year Research-status Report
SNS接触場面のチャットにおけるフレームのマルチモーダル会話分析
Project/Area Number |
21K00619
|
Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
楊 虹 鹿児島県立短期大学, その他部局等【文学科】, 教授 (20571607)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 芳弥 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (40885589)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 接触場面 / 感動詞 / 相互行為分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまで収集した日本語母語場面と日韓接触場面、韓国語母語場面のLINEチャットのデータを分析し、メディアを用いた相互行為としてのLINEコミュニケーションの実態に迫った。主な業績として、以下の雑誌掲載論文3本の成果を挙げている。 代表者楊虹(2023)「LINEチャットの会話における感動詞『あ』の分析」では、LINEにおいて、感動詞「あ」は、チャットという「記録性のある」メディアの特性や、相互行為上の場面特性に応じて、会話上の様々なリソースとして、用いられていることを明らかにした。 分担者倉田芳弥(2022)「日韓母語場面のLINEチャットの会話における相づちの特徴」では、日本語母語場面と日韓接触場面のチャットの相づちの共通点と相違点を示し、日本語母語場面における話し手の話への積極的な関わりを示す共話的な特徴、韓国語母語場面のにおける話し手と聞き手の立場を明確にする対話的な特徴を明らかにした。 楊虹・倉田芳弥(2023)「LINEチャットの会話における感動詞の分析―日本語母語場面と日韓接触場面の比較を通して―」では、日本語母語場面と日韓接触場面における感情表出の感動詞の使用実態を分析し、LINEチャットの参与者は、感情表出の感動詞を用いて、相手の発話への情意的反応を示したり、自らの気持ちの動きを微細に伝えたりしていることを明らかにし、感動詞は、チャットの会話への高い関与を示す文脈化の合図の一つとして機能していると考察している。さらに、両場面で見られた相違点について、文脈化の合図という観点から考察を行った。 以上のように、メディアを介した異文化間コミュニケーションが増えていく中、日本語教育における「文字による会話の教育」が今後、益々必要となる。上記の一連の研究はその基礎研究として位置付けることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、日本語、中国語及び韓国語の母語場面のデータ、および日中、日韓接触場面のデータの収集を行うと同時に、収集したデータの分析をさらに進め学会発表などをとおして成果の公表に努めることである。現時点では、各言語の母語場面のデータの収集はおおむね順調に進んでおり、接触場面のデータも、留学生の数の減少等、母語場面のデータ量と比べ、やや少ないものの、幅広く声をかけるなどをして、少しずつ集まってきている。 また、昨年度から分析を進めて、投稿活動などを行った結果、今年度も雑誌に論文が掲載されるなど、着実に成果を挙げている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、データの収集を行うと同時に、これまで収集したデータの分析をさらに進めていく。本年度に学会発表を1~2回行うと同時に、学術雑誌への投稿論文の準備も進めていく。
|
Causes of Carryover |
初年度のデータ収集等の作業が遅れ、残額が残っているため、次年度使用額が生じている。また、学会参加に伴う旅費などが、オンライン研究会の開催により、使用額が減っていることも一因である。次年度は引き続きデータ収集を行うため、次年度使用額は、主に謝金に用いられ、また一部は旅費として支出する。
|