2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of an Online Intransitive and Transitive Verbs Acquisition Support System for Japanese Learners and Educators
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21K00633
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
沖本 与子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (30802144)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本語教区 / オンライン学習 / 対のある自他動詞 / e-learning / 語彙学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本語学習者と日本語教師のためのオンライン自他動詞習得支援システムの開発を目的としている。2022年度は春学期に調査準備、秋学期に研究調査を実施した。 まず、春学期には秋学期の調査に協力をして頂く教育機関に連絡を取り、調査の実施時期・連絡方法・謝金の支払い方法・調査への参加教員の同意書の確認を行った。3ヵ国4大学の教員から同意を得、調査参加予定者のレベルについて意見交換をした。 次に、秋学期には、2021年度に予備調査で用いたプレテスト・ポストテストと、5週間のオンライン学習システムを用い、本調査を実施した。実施前には、参加者に筑波SPOTの受験を依頼し、日本語学習レベルが中級であることを確認した。4大学からの58名の参加者は各大学歴に沿い、試験期間を除いた時期に調査に参加した。実施したプレテスト・ポストテストでは全員の伸びが確認できた点と、調査終了後に実施した作文課題では、学習者が自動詞・他動詞の区別を明確にした産出を行ったことが分かった。 情報化社会が進み、かつ2020年以降の社会情勢により、日本語学習者の来日が停滞している現在、日本語学習者の苦手意識が高い「対のある自他動詞」をオンライン上で学習できることは、本研究の意義の一つである。かつ、2021年は国内の日本語学習者を、2022年は国外の日本語学習者を対象とした調査において確認されたように、学習者が5週間のオンライン学習終了後も自主的・自律的に対のある自他動詞の運用を行っていることは、学習者の自己モニターと自ら学ぶ力を促進した点も本研究の意義の一つであると考えられる。 個々の学習者の習得状況を追跡調査し、自主的自立的学習支援を行うという学術的独自性・創造性を含有する本研究は、日本語教育及び、世界で行われる日本語学習の広がりへの貢献を鑑み、重要性の高い研究であると認識される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2021年度に日本国内の中級レベルの日本語学習者を対象に調査を実施した後、2022年に日本国外の日本語学習者を対象に調査を行った。 オンライン学習システム構築のためには、学習者の学習過程において自主的・自律的な学習を円滑に進めるための支援が必要である。そのため、2021年度から導入している「対のある自他動詞」「移動動詞」の事前学習ビデオを、2022年度も使用することで、学習者の情意フィルターを下げ、スムーズにオンライン学習に参加できる学習環境作りに努めた。また、5週間の学習中に無理なく学習を進めるよう、初級レベルの項目から開始し、上級レベルまで導入するよう1250項目を配分した。なお、1日の学習項目は50項目であり、学習者が隙間時間に学べる量とした。 事前のプレテスト・事後のポストテスト、また学習終了後の作文課題を課すことで、初級から上級レベルの対のある自他動詞を短時間で集中的に学習し、知識整理と知識獲得を行うオンライン学習システムの構築が達成された。 また、国内外の日本語学習者からのデータを得たことで、本研究が教育機関、学習歴にとらわれず、日本語学習の一助として使用できることが確認された。同様に指導教員へ参加者の学習結果を共有することで、指導時の学習補助となることも確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、構築したオンライン学習システムを本運用する予定である。 2023年度に協力を仰いだ教育機関及び参加者から、予習・復習・確認を兼ねて、本システムのリリースと共有を求められている。そのため、2023年度にはオンライン上でシステムを整備し、まずは研究責任者(筆者)に連絡を取って頂いた個人またはグループをシステムに登録し、使用して頂く状態を目指す。同様に学会での発表での呼びかけを通し、システムの普及と利用者の向上を目指す。 また、これまでの調査でのインタビューやフィードバックから出てきた要望として、以下がある。①初級レベルに近い学習者にとって一日50項目の学習は多く、負担に感じる。②中級後半レベル以上かつ上級に近い学習者は5週間が長く感じ、短期間で復習確認を兼ねた学習をしたい。これらの要望に対応するため、今後、適応型学習システムの開発と提供を目標とする。 2023年度は1250項目を5週間で学習するシステムの発表公開と、学習者のニーズに合わせてコース選択ができるシステムの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
予定していた参加者人数より減少したため、謝金のための人件費代が未使用である。 これら83,357円は2023年度に謝金として使用する予定である。
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