2022 Fiscal Year Research-status Report
デジタル時代のリーディング・リテラシーを支援する読書教育プログラムの開発
Project/Area Number |
21K00637
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
脇田 里子 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (20251978)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 読書教育 / 大学図書館電子書籍 / 協同学習 / 専門書 / 読書技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大学に在籍する日本語学習者のリーディング・リテラシーを支援するために、デジタル時代における読書教育プログラムを構築することである。2年目に当たる2022年度の目的は、デジタル時代に求められる読書リテラシーの分析を行うことであった。 2年目の研究成果は、次の二つの研究発表である。一つは2022年8月に第25回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム(オランダ、ライデン大学)で発表した「大学図書館の電子書籍を利用したハイフレックス型授業の実践-デジタル社会で求められる教師の役割-」である。デジタル・テクノロジーを使う上で、教員の課題について、①ハイフレックス型授業と②学生の大学図書館電子書籍利用の観点から述べた。結論として、①において、教員は「機器設定と管理」や「対面学生とオンライン学生の活発な交流」の役割を担う。②において、教員は「協同学習による読書活動」から「個人による読書活動」へのスムーズな橋渡し、また、継続的な電子書籍読書への支援が期待される。 もう一つは、2023年2月に第58回アカデミック・ジャパニーズ・グループ研究例会(オンライン開催)で発表した「大学図書館電子書籍による読書教育」である。専門書の電子書籍(MeL)読書を円滑に進めるための課題について、受講生へのアンケート調査の結果から述べた。MeLの長所には、無料利用、許容された範囲での保存・印刷、 LTD(協同学習)による読書力のアップが挙げられた。一方、MeLの短所には、 学外からのインターネット接続の問題、 電子書籍読書による目の疲れ、MeL よりも Kindleの機能に利便性が示された。結論として、専門書にこそ、個人読みよりも集団読みが期待されることを述べた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)2021年度に海外調査ができなかったため、2022年8月にオランダで開催された国際会議の際に、欧州の大学の読書教育についての情報収集を試みた。しかし、コロナ禍の影響で、大学での対面授業に制約があるなど通常の授業運営に労力が割かれ、新しい読書教育の取り組みについてはあまり収穫が得られなかった。 (2)2022年度は「デジタル時代に求められる読書リテラシーの分析」について、電子メディア書籍の中で、電子書籍と音声書籍を比較し、読書の理解にどのような違いがあるのかについて調査を行った。具体的には、Amazon社のKindle(電子書籍)とAmazon社のAudible(音声書籍)の2つの媒体による読書体験について、学部留学生11名を対象に、春休みの2か月間にわたり、調査した。まだ、この調査のデータの集計や考察には至っていない。 (3)現在、大学図書館の電子書籍を利用した専門書読書の導入に関する論文を執筆している。この論文の中で、電子メディア書籍の特徴分析について述べている。論文の結論として、専門書の読書にこそ、読書技術を用い、協同学習の環境での学びが重要であることを述べる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で述べた(1)外国大学での読書教育に関する調査については、引き続き、機会を見ながら、調査を行いたい。また、(2)電子書籍と音声書籍の読書体験の調査結果をまとめ、それを研究発表後、報告、あるいは、論文として投稿したい。(3)執筆中の論文を完成させる。 2023年度の研究計画では、読書教育プログラムモデルの開発を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
2021年度に海外出張をする予定であったが、コロナ禍のために2021年度には海外出張ができなかったことが、1回目の次年度使用額が生じた最も大きな原因である。2022年度に2回海外出張をしたが、1つの海外出張旅費は他の予算を使用したため、2回目の次年度使用額が生じている。2023年度は海外で調査を行い、そこで謝礼を支払う予定である。
|
Research Products
(2 results)