2021 Fiscal Year Research-status Report
The International Comparative Study of L2 Teacher/Learner Motivation: Toward Theoretical Elaboration
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21K00649
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
木村 裕三 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (80304559)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 英語教育・学習の動機づけ理論の比較・精緻化 / DMC / 複雑系理論 / 複線経路等至性アプローチ(理論) / 活動理論(AT) / メタ理論 / 質的研究 / NVivo |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、外国語学習の動機づけ理論のうち最新理論の1つであるDMC(Directed Motivational Current)の概念の有無を東アジアに位置する3か国の中等教育機関で実証的に検証することにある。具体的には、3か国にそれぞれ1つずつある研究フィールドで長期参与観察を実施し、英語教員と英語学習者に継続的に半構造化インタビューを実施し、DMCの概念の有無を質的に検証する。 本年度(初年度)はコロナ禍の影響が残り,北京(中国)と水原(韓国)への対面渡航が不可能となった。したがって,これらの地域における研究フィールド(中・高等学校)での研究は、1つ前の17K02967基盤研究(C)の研究目的を2年間延長する中で完結するすることとした。すなわち、当初予定していた3つの研究フィールドのうち、日本以外の2つの研究フィールドにおける研究は、本研究の目的から1つ古い目的の研究を遂行する形に切り替え、来年度は本研究に合流できるように時間を稼ぐ方途を取った。そして、本研究初年度では、富山(日本)にある研究フィールドに集中した研究実績を残すこととした。 その実績は順調で、具体的には、以下の項目において授業観察と半構造化インタビューが実施できている。1)フォーカススチューデント4名の選定(4月)2)フォーカスティーチャー3名の選定とその授業への参与観察開始(5月)3)フォーカススチューデントへの3回の半構造化インタビューの実施(7月、12月、3月)4)フォーカスティーチャーへの2回の半構造化インタビューの実施(9月、3月)5)以上のデータの保管とNVivoによる自動文字起こしへの準備 富山(日本)の研究フィールドでのデータ収集が順調に進む中で、NVivoによる文字起こし作業が滞っている。他の研究・授業・管理業務との兼ね合いを見ながらエフォート値を上げる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
・コロナ禍の終息にまだ時間が掛かっており、北京(中国)と水原(韓国)の研究フィールドを直接訪問できない状況が続いている点が研究遅延の最大の要因である。加えて、延長している17K02967で回収できたインタビューデータの文字起こし、そのデータの中国語・韓国語への翻訳が滞っている。 ・理論精緻化のための根幹であるDMC概念の理解と本研究における精緻化への応用のための文献研究が遅れている。こちらもエフォート値を上げ、研究を伸展させる必要がある。 ・本研究の究極的目的が、外国語(英語)教育・学習に援用可能な心理学・SLA理論のうちいずれの理論がメタ理論としての役割を果たすかを究明することにある。その意味からもDMC概念の精緻化は必須であり、その精緻化の遅れが研究の遅れにつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
・富山(日本)での研究フィールドの参与観察と半構造化インタビューの頻度を落とさず、着実にデータを文字化し、NVivoの中でコード化することまでを習慣化する。 ・DMCに関する文献研究を進める。具体的には、初年度に購入したままになっているeBook形態の文献をEndNote上で整理し、NVivoにインポートして論文作成に活用できる形を整え、DMCの概念の精緻化を図る。その際に、17K02967までの基盤研究(C)で積み上げてきた複雑系理論、複線経路等至性アプローチ、活動理論との差異を明確化させる。
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Causes of Carryover |
コロナの終息にまだ時間が掛かっており、元来本研究が現地渡航旅費と謝金が経費の大部分を占める研究形態であることから、そのために計上された経費に余剰が生じている。翌年度はまずコロナ終息を期待し、渡航再開を待つことが考えられる。他方、今年度研究延長した17K02967で実施可能性が確認できた、北京と水原の研究フィールドとのオンラインによる授業観察・半構造化インタビューの実施も視野に入れながら、余剰となっている研究経費の有効かつ実質的は使用を促進させる。
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