2022 Fiscal Year Research-status Report
第二言語話者の「談話構築能力」の発達過程 ―談話機能主義の観点から―
Project/Area Number |
21K00666
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
遠山 千佳 立命館大学, 法学部, 教授 (40383400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楊 虹 鹿児島県立短期大学, その他部局等【文学科】, 教授 (20571607)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 談話構築能力 / 機能主義的アプローチ / 誤用論的能力 / 母語の影響 / 第二言語による制約とストラテジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、さまざまな要因が競合したり相乗効果を生じたりするなど、要因が複雑に影響し合う談話を、第二言語話者がどのように構築していくか統合的に捉え、その発達過程を明らかにすることである。 2022年度は、本研究の問いである (1)先行研究を概観し、各研究の理論、研究方法、得られた知見を体系的に整理し、談話構築能力の発達研究に援用できる理論、研究方法をまとめること、(2)伝達相手に向けての談話(横断データ)のデータ収集と文字化、(3)複数名による話し合いの談話(縦断データ)およびインタビューによるデータ収集と文字化を行い、(2)と(3)の分析をする予定であった。このうち、(3)については、引き続き、コロナ感染拡大下にあったため、2023年度にデータを収集する予定であり、2022年度はその準備のみ行った。 (1)については、談話構造の特徴を把握する機能主義的アプローチの1つとして、修辞機能を用いた分析方法、および、談話構築能力の発達研究に関しての研究会「L2談話習得研究会」を立ち上げ、オンライン上のデータの分析をする試みを行った。 (2)については、2022年度は、談話に取り込まれる引用表現に着目し、母語別に分析を行った。その結果、日本語母語話者が主人公の発話を中心に物語を語っていくのに対し、日本語学習者の語りには、主人公以外のさまざまな登場者たちの声が入り、それぞれの登場者たちの立場や気持ちを語りつつ物語を進めていくことが観察された。この結果が母語によるナラティブのスタイルの違いによるものか、第二言語による制約とそのストラテジーからくるものかについての分析は、2023年度のインタビューを含めたデータ収集で行なっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度も新型コロナ感染拡大の影響を受け、対面によるデータ収集を2023年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、対面によるデータ収集、および、その分析を行う。2021年度および2022年度の分析結果等を鑑み、収集するデータのタイプは再考して実施する。
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Causes of Carryover |
2021年度および2022年度に新型コロナ感染症拡大下で対面のデータ収集ができなかったため、次年度使用額が生じている。2023年度は、対面によるデータ収集を幅広く行う予定である。その際、複数の言語による談話データを収集し、文字化、翻訳も進める。
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