2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of evaluation index of teamwork ability in PBL international collaborative English active learning
Project/Area Number |
21K00693
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
吉田 信介 関西大学, 研究推進部, 非常勤研究員 (50230743)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Project Based Learning / 国際交流学習 / アクティブ・ラーニング / グループ・ダイナミクス / 評価指標 / 生成AI / コラボレーション / 問題解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
新学習指導要領外国語では,主体的・対話的で深い学びであるアクティブ・ラーニングからの学習改善が求められおり,大学英語教育でもProject Based Learningが取り入れられつつある.その際、キーとなるのがチームワークカであり,これは20年間実践してきた日台国際交流学習のデータから明らかである.このような背景のもとで、過去23年間のアンケート調査と事前交流録画からの知見により,大学英語教育における英語によるチームワークカの評価指標を開発している。研究開始時から3年間で、次の指標を抽出した。それらは、1) コミュニケーション力; 2) コラボレーション力 ; 3) コンフリクト解決力; 4) 役割遂行力; 5) 目標設定力 ; 6) 問題解決力 ; 7) 適応力; 8) 主体性; 9) 対人スキル力; 10) フィードバック力、であった。これらのうち、特に意義と重要性に注目しているのは、a) コラボレーション力、b) コンフリクト解決力、c) 問題解決力である。これらをグループ・ダイナミクス、国際理解、教育心理学の3点から精査した結果、a) コラボレーション力では、多様なスキルや知識の結集を促進し、より革新的な解決策と責任の共有につなげる、異文化交流を促し、多様な視点や専門知識を統合することで、より強固で創造的な成果を導くこと、学生の学問的・社会的発達に不可欠な協調性を習得することで、将来に備えることができること、b) コンフリクト解決力では、対立を建設的に解決することで、グループの結束を強化し、多文化の視点から、建設的な協力関係を維持しつつ、論争できること、c) 問題解決力では、課題を克服し、チームの機能性を向上させ、異なるシステムや慣習を統合する際に生じる問題に対処し、批判的思考力を養い、知識を創造的かつ実用的に応用できることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、1) コミュニケーション力; 2) コラボレーション力 ; 3) コンフリクト解決力; 4) 役割遂行力; 5) 目標設定力 ; 6) 問題解決力 ; 7) 適応力; 8) 主体性; 9) 対人スキル力; 10) フィードバック力の10の指標を抽出し、これらのうち、グループワークで特に重要な能力であるa) コラボレーション力、b) コンフリクト解決力、c) 問題解決力という3つの要素を精査している。これらの成果を踏まえて、Can-Doリストを鋭意作成中である。具体的には、コラボレーション力: 「私は、チームメンバー全員と相乗的に働き、協力的で生産的なチーム環境に貢献できる」など、; コンフリクト解決力:「私は、対立を早期に発見し、建設的に対処し、チームのダイナミクスと成果を高める機会として活用できる」など; 問題解決力: 「私は、批判的思考と創造性を駆使して問題を効率的に解決し、チームの発展に貢献できる」などなどがあげられる。 しかしながら、この間生成AIブームが到来し、誰もが日々の業務や生活を劇的に変化・効率化させることが可能となり、教育の世界でもその活用が広がりつつある。そこで、本研究においても生成AIを急遽取り入れ、その可能性を探究する必要がでてきた。理由として、交流先に台湾、中国、韓国など教育IT先進国があり、相手国の大学生が頻繁に使用しているという背景がある。そこでは、長文の文献の要約、アイデア出し、対話的情報収集、ライティングの校正など、種々の場面で使っている。これを受けて、生成AIの意識調査や活用手法を調査・指導し、AI時代のPBL国際協働研究をしていく必要があり、既に本研究に密接に関連するAI関係の研究を開始し、研究発表を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の当初の目的は、日本の英語教育界でのユニバーサルデザインとしてのチームワークカの評価指標のモデル化を目指すことであった。そのため、国内外の学生同士が、従来の方法(インターネットや図書館を活用)で情報を収集し、コラボレーションやコンフリクト解決や問題解決を、オンラインや対面で行ってきた。しかしながら前述のように、パートナーと協働で生成AIを活用する必要があり、上記10の指標に加えて、新たに11番目の指標、すなわち、グループワークにおける「生成AI活用能力」を追加する必要がでてきた。そこで指標として予測されるものとして、1)「AI活用コラボレーション能力」:アイデアやストーリーの出発点を生成できるか、言葉を洗練させたり、文化的な洞察を引き出せるか、お互いの共同作業の成果を評価するピアレビューのプロトコルを生成・実践することができるか、2)「AI活用コンフリクト解決力」:多文化間交流で、コミュニケーションスタイルや文化的規範に基づく誤解をAIで学習することができるか、AIの中立的な言葉が、どのように対立を和らげるのに役立つかについて説明できるか、3)「AI問題解決力」:データの生成・環境のシミュレーション・関連モデルの提示ができるか、AIが人間の意思決定力をどのように強化できるかを具体的に明示できるか、などが考えられる。つまり、グループワークにおける、コラボレーション力、コンフリクト解決力、問題解決力の習得過程において、人間の能力を高めるツールとしてのAIを活用できる能力の指標を追加することで、AI時代に相応しい国際協働における「チームワークカの評価指標」を完成させることができる。
|
Causes of Carryover |
昨年度は研究期間中に発生したパンデミックの最終年にあたり、まだ十分な研究環境が得られなかった。特に対面での国際交流が遠隔で行われ、参加者のチームワークに関する直接のデータ収集ができず、研究の推進に支障が生じた。さらにその影響が残る中、生成AIブームが到来し、誰もが日々の業務や生活を劇的に変化・効率化させることが可能となり、教育の世界でもその活用が推進され、本研究の対象者にも強い影響が生じてきた。そこで、今年度は、日本と台湾の会場での対面によるデータ収集と、そこから得られる「対面でのチームワークカの評価指標」、ならびに、人間の能力を高めるツールとしての「AIを活用したチームワークカの評価指標」を探究する。そのためには、国際協働による国内大会(8月大阪)と国際大会(12月台湾)における、対面によるチームワークカの評価指標を構築するための事前事後インタビューと記録・分析・考察、および、国際協働作業の録画と分析(特に、コラボレーション、コンフリクト、問題解決時の対話の書き起こしと解析)を実施する。同時に、国際協働において生成AIを活用するための意識調査と活用ワークショップの開催、および、活用記録と分析による評価指標を提案する。これらの成果を、国内外の学会で発表・提案し、AI時代のPBL国際協働チームワークカ評価指標を国内外で広める。
|