2023 Fiscal Year Research-status Report
ALACTモデルを用いた若手英語教師の自律的な授業改善への取組に関する実証研究
Project/Area Number |
21K00703
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岡崎 浩幸 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (20436801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 若手英語教師 / 自己リフレクション / 授業改善 / ジャーナルリフレクション / 独自の実践理論(PPTs) / strengh based reflection / 生徒の視点からのリフレクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、教職1年目の中学校英語教師に対し、授業改善のために授業後に3か月間にわたって11回,ジャーナル形式で自己リフレクションを行ってもらった。今回実施してもらった自己リフレクションには2つの特徴がある。一つ目は生徒の視点(生徒の思い、考え、要望など)を中心に授業を振り返ること。2つ目は、授業の中のうまくいかなかったことよりも、むしろうまくいったことや手ごたえを感じたことに焦点を当てる「強みに基づくリフレクション(strength based reflection)を行うこと(Ghya,2011)。本研究の目的は次の2つからなっている、(1) この形式で行うリフレクションが今後の実践の改善や若手教師の成長に寄与できる高次のレベルにどの程度達することができるか、(2)1年目の英語教師がこの形式のリフレクションを通じて、どのような教師独自の実践理論(teacher personal practical theories)を得ることができるのかである。 若手教師のリフレクションをLee(2005)のフレームワークに基づいて3つのレベルで分析した結果、自己リフレクションの82.9%の記述が高次のレベルに達していた。さらに、このアプローチを通じて、今後の実践に役立つと考えられる10個の教師独自の実践理論が生成されていた。さらに、そのうちの5つの実践理論は1年後の実践においても活用され、授業実践に役立てられていることが分かった。 まだ1例に過ぎないが以上の成果から、日本の教育現場では若手教師が急増する中で、先輩教師からのサポートを十分に得ることができない状況においても、このようなアプローチの自己リフレクションが若手教師の授業改善や成長に一定の効果をもたらす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で、研究協力者の授業参観や授業後インタビューが十分に実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、2つの特徴を備えた若手教師による自己リフレクションがある程度、授業改善や成長に効果をもたらす可能性が示唆されてきたが、その事例はまだ少ない。今後は、異なる状況にいる若手教師や中堅の教師に対しても同じ形式のリフレクションを行ってもらい、データを収集する。これまでの若手の教師の研究成果と比較して、同様の効果が得られるかどうか、あるいは異なる結果が出るのかを検証する。もし著しく異なる結果が得られた場合は、これまでの研究も含め、それぞれの要因を詳細に分析する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、研究協力者(若手英語教員)の授業参観や授業後のインタビューを行えなかったため、謝金等の支払いができなかったため。
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