2021 Fiscal Year Research-status Report
A Narrative Approach to Foreign Language Learning: Life Stories of Globally Talented People
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21K00707
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
寺西 雅子 (那須雅子) 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 准教授 (50311098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
剱持 淑 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 教授 (20178164)
寺西 雅之 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (90321497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナラティブ研究 / インタビュー / ライフストーリー / 第二言語習得 / グローバル人材育成 / 外国語話者モデル / 質的研究 / 内的世界 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、学習者のライフストーリー研究の基盤となる先行研究として、第二言語習得理論、学習心理学、異文化コミュニケーション論など多岐にわたって文献調査を実施した。さらに、グローバル人材のナラティブを聴きとる際の質問項目の再検討や、得られたナラティブ・データを分析・考察するためのフレームワークの改良に取り組んだ。 なお、グローバル人材のライフストーリーの聴き取りとして、海外に駐在している日本人4名のインタビューをZOOMを通じて実施した。準備した質問項目のアンケートを事前に渡し、回答してもらった。インタビュー時には、その記述の内容に沿って、さらに話題を掘り下げて語ってもらった。インタビュー項目は、幼い頃からの「家庭環境」、英語を中心とする「学習体験」、外国語学習への「動機づけ」等に加えて、海外勤務に至った経緯や海外勤務の中でのやりがいや挫折など内的要因を広範囲に含むストーリーとなった。これらのインタビュー音声を文字に起こした後、テキストデータを読み込み、外国語学習に向かうきっかけや、異文化社会に生きるエネルギー源など内的要因に触れる語りを中心に、いくつかの項目に分けて整理を行った。 成果発表としては、学術的にまとまりのある成果にはまだ至っていない。しかしながら、今回のインタビューから一部を抽出して、グローバル人材のライフストーリーとしてまとめ、勤務校のグローバル人材育成特別コースの学生に対して、「インタビュー紹介:グローバルに活躍する先輩たち」と題する講演を行った。先輩の豊かな経験や人間的成長をナラティブとして示し、同じ道を目指そうとする若い学生にとって目標となる「外国語話者モデル」の人物像を伝えることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、外国語学習を真剣に追求したグローバル人材の多くが、「学習」という範疇を超えて、外国語を学び使うという行為がその人物の内的世界にまで浸透し「生き方」や「人生哲学」を形成しているという立場に基づいて、外国語学習に関する活動履歴に加え学習者の内的要素やその変容を研究対象に含めてインタビュー調査を実施した。学習者の外的な活動履歴と内面変容という両側面から、外国語習得プロセスとその実践的運用体験までの実情を詳述することによって、日本人のグローバル人材のライフ(生き方)に関するモデルを構築し、人生観や人間的成長まで含めた学習者のライフストーリー研究への発展を目指している。 令和3年度には、ライフストーリー研究の基盤となる先行研究として、第二言語習得理論、学習心理学、社会文化心理学、異文化コミュニケーション論など多岐にわたる文献調査を実施しながら、ナラティブ分析のフレームワークの改良に取り組んだ。一方、海外に駐在している日本人3名および海外赴任から帰国した日本人1名を対象にZOOMを通じてインタビュー調査を実施した。準備した質問項目についてアンケート形式での記述および半構造化形式のインタビューによって、必要に応じて内的要因にまで掘り下げながら調査ができた。特に、海外勤務に至った経緯や異文化社会における仕事のやりがいや挫折体験とその克服などの内的要因を広範囲に含む聴き取りが可能であったことは成果であった。 これらのナラティブ・データの分析は、学術論文としての成果発表までには至らないものの、テキストに書き起こした後、いくつかの分析項目に基づいた整理を行うことができた。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、新たなインタビュー対象者の開拓とともに、これまでインタビューを実施した対象者に対して、複数回のインタビュー実施を計画している。今回の研究課題のテーマは、グローバル人材のライフストーリーを再構築することである。外国語学習を取り巻く内的要因や変容を、過去から現在に至る長い期間で捉えていく必要があり、内的要素を深く掘り下げることを通じて人物のライフストーリーを構築する。そのために、時間をかけた丁寧な聴き取り、そして対象者自身による度重なる語り直しが不可欠である。長期間にわたる活動履歴を把握したうえで、その人生観やアイデンティティ、人間的な成長、そして時には挫折といった通常は日常的に語られることのないナラティブを引き出し、正しく解釈する必要がある。したがって、これまで収集したナラティブデータを十分に分析した上で、フォローアップインタビューを実施する。データの蓄積とそれらの分析・考察を継続するとともに、ライフストーリーの再構築に努めていく。また学会発表、論文執筆、ホームページへの掲載等を行い研究の成果発表も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由は、令和3年度に予定していたインタビューおよび学会出席のための出張がすべてオンライン実施となったことおよび本科研のためのHP作成費用が未使用となったことである。また、インタビュー対象者が受け取りを辞退した謝金も未使用額となった。次年度の使用額とあわせて、令和4年度にはインタビュー出張が実現できれば、その旅費に充てる予定である。さらに、インタビュー対象者への謝金やインタビュー調査後のデータ分析と整理のための人件費としても使用する予定である。
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[Book] Pedagogical Stylistics in the 21st Century2022
Author(s)
Sonia Zyngier, Greg Watson, Geoff Hall, Violeta Sotirova, David I. Hanauer, Marcus Bridle, Dan McIntyre, Peter Stockwell, Marcello Giovanelli, Chloe Harrison, Ian Cushing, Esmeralda V. Bon, Michael Burke, Azumi Yoshida, Masayuki Teranishi, Takayuki Nishihara, Masako Nasu, et.al.
Total Pages
405
Publisher
Palgrave Macmillan Cham
ISBN
978-3-030-83609-2
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