2022 Fiscal Year Research-status Report
小・中英語教科書で見る教員養成・研修に活かせる英語の背景知識の体系化に関する研究
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21K00719
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
笠間 弘美 金沢学院大学, 教育学部, 教授 (40204367)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文構造 / 英語教科書 / 学習指導要領 / 英語の背景知識 / 英語文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
データ収集による計量的調査において、小学校英語教科書7社と中学校英語教科書6社に導入されている語彙数では以下の結果が出た。小学校英語教科書で扱われている語彙数:Blue Sky elementary(BSE): 543語 Crown Jr.(CWJ): 507語、Here We Go!(HWG): 592語、New Horizon elementary(NHE): 630語、Junior Sunshine(JS): 637語、Junior Total English(JTE): 514語、One World Smiles(OWS): 621語。7社平均の取り扱い語数は578語(以下、平均値は小数点以下四捨五入)で、取り扱い語数が一番多いJSと一番少ないCWJでは130語の差がある。中学校英語教科書で扱われている語彙数:Blue Sky(BS): 1735語、Here We Go!(HWG): 2304語、New Crown(NC): 2164語、New Horizon(NH): 1,683語、One World(OW): 1773語、Sunshine(SH): 1949語。6社平均の取り扱い語数は1,935語で、取り扱い語数が一番多いNCと一番少ないNHでは481語の差がある。 一方、中学校英語教科書の本文で扱われている延べ単語数は、1年生で6社平均1,560語、2年生で3,096語、3年生で3,445語となっている。最小値と最大値の差は、1年生でHWG1: 1,046語 対 OW1: 2,088語、2年生でHWG2: 2,754語 対 OW2: 3,720語、3年生でSH3: 2,914語 対 NC3: 4,278語となっている。3年間では、BS1~3: 6,915語 対 NH1~3: 9,456語であった。今後、これらの語彙・文章の内容を分析・整理し、必要な用例を抜き出し、教員養成・研修に活かせる英語の背景知識の体系化を進める。 さらに、英語の背景知識として、外すことのできない英語文学に関して、イギリスの女流短編作家であるキャサリン・マンスフィールドの文体的特徴から、申請者がこれまでに収集した用例を使い、中学校学習指導要領にある文法項目との使い方と比較して、前置詞や接続詞のような単純な文法項目でも、使い方の工夫によって、豊かな文章表現を生み出すことを研究論文にまとめ、雑誌掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に後れを取っていた分を含め、データ収集に関してはほぼ予定通り行えたが、3年目に予定している、教員養成課程の学生と現場の教員研修に必要とされる英語の背景知識を体系的に提示するための、データ分析に関してやや遅れをとっている。しかし、データ分析と考察・まとめを並行して行うことで、遅れを取り戻せるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに主要なデータ収集は終了しているので、量的・内容的分析を進め、小・中学校検定英語教科書の特徴を明らかにするとともに、最終年度の3年目は、その内容を具体例として、教員養成課程の学生や教員研修に活かせる英語の背景的知識を体系的にまとめていく。具体的には、文部科学省の「外国語(英語)コアカリキュラム」の中にある「外国語に関する専門的事項」の「英語に関する背景的な知識」に含まれる4つの学習項目、①英語に関する基本的な知識(音声、語彙、文構造、文法、正書法等)、②第二言語習得に関する基本的な知識、③児童文学(絵本、子供向けの歌や詩等)、④異文化理解について、小・中学英語教科書から具体的な内容、用例を用いて解説し、「英語の背景的知識」を体系的にまとめ、提示していく。特に①については、英語史から見た英語の変化の様々な特徴を系統的に理解する必要があると考えている。また、その中の語彙に関しては、日本文化の紹介などで使われる日本語からの借用語(例:manga)を分析することで、④の学習項目の知見も深まると考える。さらに、③については、英語担当教員としての知見を深めるという視点から英語文学についても触れる必要性を感じている。 研究を進める中で、旧教科書との比較が必要な項目がある点が課題となっている。それを把握した2年目には支出をできるだけ抑える工夫をしたので、データ収集を追加することで対応策を取りたい。
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Causes of Carryover |
研究過程においで、課題となった部分を補う追加データや資料収集のために今年度の予算をできるだけ節約し、次年度に使用する予定である。
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