2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00727
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
永井 典子 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (60261723)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アカデミックライティング / 文法特性 / CLIL / CEFR / English Grammar Profile |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、Douglas Biberを中心に行われてきた様々なレジスターで多用される英語の語彙・統語・語用論特性に関する一連の研究(Biber, 2006; Biber et al., 1999; Biber, Conrad & Cortes, 2004; Biber, Connor & Upton, 2007; Biber & Gray, 2016)等を精査し、英語の口語体と文語体で多用される文法特性を把握した。 さらに、これらのコーパス研究を基にBiber et al. (2011)が提唱した文法特性の5段階の発達指標(Hypothesized Developmental Stages for Complexity Features)(Biber et al. 2011, p.30)を検証し、この指標の問題点を明らかにした。その1つとして、この文法指標で示された5段階が、より広く使用されている英語能力指標(CEFR,TOEIC等)と関連されておらず、現場の英語教員にとって、Biber et al.が提唱した文法特性指標がどの熟達段階の学生が修得しておくべき項目なのかが不明であることを指摘した。 そこで、Biber et al.(2011)が提唱した5段階の熟達度で示された文法特性をCEFRの6段階で示されたEnglish Grammar Profile (EGP)の文法特性と関連付け、Biber等が提唱した文法特性がCEFRのどの段階の学習者が修得すべき項目であるかを示した。さらに、これら2つの文法指標の違いを指摘し、Biber等によって提唱された文法特性を大学におけるCLIL授業等を担当する教員が理解しておく必要性を指摘し、それらの文法項目の教育的意義を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究計画はおおむね実行できた。しかし当初予定していたBiber等が提唱した口語体と文語体では異なる文法特性と、CLIL研究で行われているDalton-Puffer (2013, 2018)が提唱した発話行為の比較検証が完成していないため、「概ね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度の研究成果を国際学会等で発表し、研究成果に対するフィードバックを得る。現在までのところ、4月28日~29日にラドビアのリガで開催される国際学会(5th International Symposium on Language for International Communication)でのオンライン発表、7月8日~10日開催されるJALTのPanSIG conferenceでの発表が確定している。このほか、9月15日~17日にポルトガルのポルトで開催される国際学会CercleS2022に発表を応募している。これらの発表で得たフィードバックをこれまでの研究成果に反映し、1つの学術論文に仕上げる予定である。 これらの学術活動と並行し、今年度は、CLIL授業の具体的な言語活動とタスク開発を支援するトゥールとして、「知識タイプと認知プロセスのフレームワーク」を開発する。その方法として、Bloom's taxonomyとCEFR/CVの能力記述文を応用する。具体的には、Bloom’s taxonomyの4つの知識タイプと6つ認知プロセスを、Anderson et al. (2014)を基に精査し、2021年度に明らかにしたアカデミックライティングの文法指標を基盤とした具体的な言語活動を提案する。さらに、これらの言語活動を学習者の英語の熟達段階に対応させるために、CEFR/CV(COE, 2020)の能力記述文、特にMediationの能力記述文を精査し、対応可能な記述文を選択し、CLIL授業用に文脈化する。
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Causes of Carryover |
2021年度は、学会がすべてオンランで開催されたため、学会参加のために予定していた旅費を使用することがなかったため。 2022年度は、7月8日~10日に長野市で開催されるJALTのPanSIG conference、及びポルトガルのポルトで9月15日~17日に開催される国際学会CercleS2022での発表がすでに決まっているので、それらへ参加するための旅費等に使用する予定である。
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