2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K00727
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
永井 典子 茨城大学, 人文社会科学部, 特命研究員 (60261723)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Academic writing / 学術英語の文法特性 / CEFR / English Grammar Profile / CLIL / Mediation / Bloom's taxonomy |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、まず前年度に行った研究をもとにラトビアのリガ大学で4月28日から29日に開催された国際学会(5th International Symposium Language for International Communication)、および7月8日から9日に長野県立大学で開催されたJALT PAN-SIG 2022で研究発表を行った。これらの発表では以下の2点を示した。 1.Biber et al.(2011)が5段階の発達段階で示した英語のwritingにおける文法特性を、CEFRの6段階別に提示されたEnglish Grammar Profileにおける文法特性と比較し、CEFRの上級レベル(Cレベル)の文法特性に学術英語の特徴である様々なタイプのComplex NPが含まれていないことを指摘した。 2.このため、CLIL教育に使用されうるCEFRのCレベルの教科書には学術英語の特徴的文法項目が含まれていない可能性が高く、CLIL担当教員は学術英語の文法特性を理解し、適切な指導を行う必要性があることを指摘した。 次に、これらの発表で得たフィードバックをもとに、Relating developmental progression index of grammatical complexities to CEFR proficiency levelsと題した論文を執筆し、5th International Symposium Language for International Communication Proceedings (LINCS Proceedings 2022)に投稿し、受理された。 さらに、CLIL授業の「内容」の選択やタスク開発を支援するトゥールとして、Bloom's taxonomyとCEFR/CVのMediation という概念を精査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、Biber等による、異なる発達段階別で獲得される英語の文語体の文法特性とCEFRの6段階の熟達度別に示された文法特性を比較し、その類似点および相違点を明らかにし、論文としてまとめたので、研究計画はおおむね実行できた。しかし当初予定していた学習者の英語の熟達段階に対応した言語タスクの開発が終了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、言語を思考のツールとして使用する言語活動やタスクを作成するためのフレームワークを提案する。そのために、以下の3つのことを行う。 まず、ヨーロッパ評議会が2020年に出版したCEFRの補遺版(CEFR/CV)で示したMediation(媒介)という概念、および言語を思考のツールとして活用するために必要なMediationモードの様々な言語能力記述文を精査する。そのうえで、異なる文化的背景を持った人々が協働して意味を構築し、新たな考えを創出するために必要な思考力・判断力・表現力・交渉力などの育成に資する言語活動及び言語方略について、詳しく解説する。 次に、Anderson et al.(2014)で示されたBloom 's taxonomy の4つの知識タイプと6つ認知プロセスを精査し、より高度は認知能力を知識タイプおよび認知プロセスに大別し、それらの関連性を明確にする。 最終的には、上記で明らかにする知識タイプ・認知プロセスとMediationで示された具体的な言語活動及び方略を関連付け、CEFRの6段階の熟達度に応じた、より高度な認知能力を獲得するために有用な言語活動やタスクを開発するためのフレームワークを提案する。
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Causes of Carryover |
2022年度にポルトガルで開催されたCEFRCLES2022で発表予定だったが、コロナ禍のため、現地での発表を断念したため、予定していた旅費、学会参加費が未使用だったため。 2023年6月にヘルシンキで開催されるEuropean Association of Language Testing and Assessment (EALTA)に参加し、CEFR研究会で研究発表をすることになっている。学会参加費、および学会参加のための旅費に使用する。
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Research Products
(3 results)