2021 Fiscal Year Research-status Report
A quantitative analysis of vocabulary and fixed phrases in German academic texts
Project/Area Number |
21K00735
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今道 晴彦 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (40758182)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 学術テキスト / 名詞文体 / 言語変化 / コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ドイツ語圏で公表されているゲルマニスティーク関連の主要学術誌を収集し,当該分野の研究論文において特徴的なトピックとそれに関連する語彙を抽出すると共に,論文要旨に見られる談話単位を分析し,各談話単位で特徴的に使用される定型表現を抽出することを目的とするものである。また,抽出した語彙と定型表現の有用性を検証し,ゲルマニスティーク専攻のドイツ語学習者の論文読解および論文執筆支援のための共通基盤の構築に繋げることを目指している。 本年度(令和3年度)はゲルマニスティーク関連の主要学術誌の収集を予定していたが,新型コロナウィルスの影響で資料の収集に制約があたったため,学術テキストにおける語彙使用にも深く関係する文体変異の分析に取り組んだ。具体的には,20世紀の学術書コーパスなどをデータとして,名詞文体を巡る文体変異の諸相を概観すべく,コーパス言語学の手法を用いて,(1)名詞の時代差の有無と(2)それに関わるその他の言語変化の有無を検証した。 その結果,(1)名詞の時代差の有無については,分析対象とした新聞コーパスと学術書コーパスの両方で名詞の増加傾向が見られ,1970年代に増加のピークに達することが観察された。一方で,名詞の増加と収束の時期は両コーパスで異なっており,新聞コーパスに比べて学術書コーパスでは収束の時期が遅れることなどが確認された。また,(2)その他の言語変化に関しては,平均語長,形容詞派生,動詞派生といった名詞の形成に関わる項目や,形容詞,前置詞などの名詞句の拡張に関わる項目が,年代の予測に寄与することが確認された。一方で,これらの項目は名詞の増加と同時進行ではなく,先行研究で指摘されるような構文レベルにおよぶ変化は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウィルスの影響でドイツでの資料収集が実現しなかったことで,文体変異の分析に重きを置いたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(令和5年度)は,前年度の研究結果を踏まえ,現代ドイツ語の学術テキストを分析データとして,どのような形態的特徴を持つ名詞が増加(減少)傾向にあるのかを時系列の観点から検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 初年度となる本年度(令和3年度)は,ドイツ渡航とPCの購入を見送ったため,次年度使用額が生じた。 (使用計画) 生じた差額は次年度(令和4年度)のドイツ渡航とPC購入,コーパス構築のための電子データの入手に使用する予定である。
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