2022 Fiscal Year Research-status Report
「20秒グラスピング・アンド・レスポンス法」の研究とその教材開発
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21K00751
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
菅原 隆行 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00331968)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 20秒グラスピング法 / TOEIC / リスニング / シャドーイング |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、「聞く力を向上させる」や「話す力を向上させる」という漠然とした目標の指導法ではなく、比較的長い英文の内容把握(リスニング)とそれに対する対応力(スピーキング)の能力を向上させる指導法であり、さらに2つの技能(リスニング・スピーキング)における理解力ではなく、対応力・反応力を伸ばす方法の開発である。 2022年度においては、本校4年生「総合英語Ⅰ」の科目においてTOEIC対策を行う授業の時に、「20秒グラスピング・アンド・レスポンス法」のSTEP1とSTEP2を主に実施した。「20秒グラスピング・アンド・レスポンス法」のSTEP1とSTEP2とは、次の通りである。 「STEP 1」とは、20秒程度の比較的短い英文を聞き、その英文の伝えたい要点を把握するトレーニングを行うことを指す。この時、場合によっては重要な単語はあらかじめ提示しておき、学生が英文の内容把握できない要因がリスニングにあるのか、それとも語彙力不足にあるのかを診断する。また、「STEP2」では、英文の長さを40秒→1分と段階的にのばし、徐々に長い英文の内容を把握できるよう展開する。1分の長さの英文内容を把握する力のトレーニングを行うときには、英文内容の理解度を問う2~3問の問題を学生に解いてもらい、聞くべきポイントをきちんと把握できているかを確認する。 上記の指導法を行った結果、4年生の授業アンケートでは、「20秒グラスピング・アンド・レスポンス法」の授業は「とても役に立った」または「まあまあ役に立った」と回答した学生が、4学年全体の86.2%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「20秒グラスピング・アンド・レスポンス法」の授業を受けた学生の反応は好評であったものの、4年生のTOEIC学年平均点が、令和3年度は494.90点であったものが、令和4年度においては、468.86点となり、学年平均点が前年度と比較して約26点下降する結果となった。この主な要因は、学生のリスニング力ではなく、リーディング力不足が原因である。しかしながら、リスニング力を十分に伸ばせていない事実もあるため、詳細な分析をしたのちに、教材作成に移りたい。そのため、進捗状況が遅れる結果となっている。 また、コロナの影響により、昨年度も「20秒グラスピング・アンド・レスポンス法」指導法の有効性について、他の教育機関においての検証ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本校においては、「20秒グラスピング・アンド・レスポンス法」指導法「STEP1」・「STEP2」のさらなる検証と問題点のあぶり出し、さらに「STEP3(20秒程度の比較的短い英文を聞き、その内容に対する適切な応答を自分で考えて英語で答えるトレーニング)」の導入を行う。さらに、昨年度まで実施できなかった他高専での導入と効果検証を、群馬高専の協力のもと、3月下旬からオンライン授業形式で群馬高専の学生に対して開始した。これらのデータをもとに、「20秒グラスピング・アンド・レスポンス法」の教材開発にも着手したい。
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Causes of Carryover |
前年度は、コロナウイルスの影響で学会発表がオンラインで実施されたので、旅費を使用する機会がなかった。今年度は学会発表が対面で開催される予定であり、さらに海外での国際学会へ行く場合、円安等の影響で高額の旅費となる可能性がある。 さらに、今年度から教材開発が始動する予定であるため、物品費に加え、教材開発協力者への謝金が発生する予定である。そのため、前年度までの未使用額に加えて、今年度の所要額も必要である。
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