2021 Fiscal Year Research-status Report
機械翻訳を使いリメディアル教育を必要とする学習者の学習支援のための総合的研究
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21K00767
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
酒井 志延 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30289780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大勝 裕史 千葉商科大学, 基盤教育機構, 講師 (00822959)
土屋 佳雅里 東京成徳大学, 子ども学部, 助教 (50835353)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機械翻訳 / リメディアル教育 / 複言語教育 / 英語を合鍵にする教育 / 概念の言語化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標である「英文法の修正指導研究」だが,申請書には,リメディアル教育のためには,丁寧な個人指導が欠かせない。それには,多大な人的資源を必要とする。本研究では機械翻訳を使い,リメディアル学習者に自分に欠けている文法や知識を自らの気づきによって修正し,習得させる方法と,その過程を通してリメディアル学習者の犯しがちな文法の間違いの類型化を実施する」と記述した。昨年で判明したことは,3点である: 1点目は,大学1年生の多くは,機械翻訳を使用することに,行けないことをしているのではないかという心理的な抵抗を持っている。その抵抗をなくすためには,翻訳機をつかうことで,英語が文法的な学習ができること,また,音声入力機能を使って,自分の発音を矯正することができるという学習方法を示すことが有効であること。 2点目は,英語が苦手な学習者は,自分が理解できない文法事項を明示することが苦手であるということ。文法学習は,理解できていない文法項目をピンポイントで学ぶと効果的なのだが,リメディアル教育対象の学習者は,自分の理解できていない事項を指摘できない。それは文法項目の理解が不確かなことと,自分の概念を文字化できない問題が大きいことである。その対策としては,学習の振り返りを定期的に行わせ,文法を書く能力を高めることと,振り返りをクラスでシェアすることが有効に働くことがわかった。 3点目は,他の外国語を学ぶ意識だが,1年生の段階では,英語学習で精一杯なのに,他の外国語の学習まで手が回らないという意識がある。しかし,英語を機械翻訳を使って学習することを学ぶと,他の言語も同じプロセスを使えば,ある程度運用できることが分かる。機械翻訳においては,日本語よりも,英語との翻訳効率が圧倒的に高いので,英語を合鍵として,他の外国語を使えるようになる意識をつけることで,英語学習にも意欲的になることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の方法は,大学1年生の授業においての学習者のリアクションペーパーから,学習者が自分の英語力改善のために,翻訳機を使って学ぶことでの意識の変化を研究することである。その方法は,科研費研究が始まる前から酒井が実施していた研究を進化させるものである。昨年度は,主に,酒井が授業のリアクションペーペーをデータ化し,学習者の意識の変化を記録した。それは,順調に進み,その研究の発表には,100人を超す聴衆があつまった。 協力者の白土は,学習者の文法の躓きを収集しようとし,2つの方法を実施した。一つは,酒井と同じように,授業のリアクションペーパーから学習者の躓きを発見する方法である。これは,学習者の感想からのデータ抽出であり,このデータは大量だが,着実にデータが収集できていて,その分析も進んでいる。もう一つの方法は,直接的に学習者に自分の理解できていない点を,ウェブ上の質問箱に記述させる方法である。このデータは,残念ながら,10人分程度しかデータが集まらなかった。その原因は,リメディアル対象者が,自分の欠点を把握する力がないことにあることがわかった。そのため,次善策を検討した。その改善策は次の段落で記述する。 分担者の土屋は,自分の本務校の学生に,本研究の成果,ある意味他大学の学生の結果を適応させる研究に着手した。若干手探りであったが,実践の結果,本年度より,本格的に指導できる体制を整えた。手探りをした経過は論文にまとめつつある。 分担者の大勝は,複言語の教材をさらに進化させてた。それは,レポートとして報告する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,実践校を増やし,3大学で実施している。学部が,異なるが本研究が多くの大学の学生に効果的であることを示すことが可能であると考えている。 大きな問題として浮かび上がったのは,リメディアル教育の学習者が自分の抱える問題点を特定することが難しい問題である。ある意味,これがリメディアル教育の本質があるとも言える。なぜなら,自分の問題をきずけば,文法書を参照するか,教員に尋ねることで解決するからである。1つ解決策として,発見したのは,クラスメイトの書いたリアクションペーパーをシェアすると,自分も同じ間違いをしていたことに気づく学習者がいることである。それだけでは,多くの学習者に気づかせることが難しいので,英作文を比較させる授業を実施する。その方法は,自分が英文を組み立てられない場合に,日本語を翻訳機に入れて出てきた英文を見て,なぜ自分が出来なかった考えさせる作業である。そのデータを回収し,文で気する。この方法により,リメディアル対象の学習者が苦手とする英文法を分類できるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
covid-19下において,国際学会への参加がウェブでの参加になったことで海外渡航の費用が発生しなかった。あと,協力者を招いての会合が出来なかったので費用が発生しなかった。本年度は,海外の学会に参加したり,対面の会議を復活させて研究を広げていきたいと考えている。
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Research Products
(4 results)