2023 Fiscal Year Research-status Report
語彙認知速度への影響を考慮した語彙サイズ・認知速度テストの開発
Project/Area Number |
21K00771
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
磯 達夫 東京電機大学, 工学部, 教授 (40438916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 一美 東京電機大学, 工学部, 教授 (00222448)
ナダスティ ポール 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (60807303)
佐藤 研仁 東京電機大学, 工学部, 講師 (60835924)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 語彙サイズ測定 / 語彙認知速度測定 / 語彙テスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本人英語学習者の語彙運用能力を測定するテストを開発し,語彙サイズと語 彙認知速度の関係を調査することである。この目的のために,カ年度中に,語彙サイズを測定するために最適であると考えられる問題項目バンクを作成し,テストプログラムを構築した。2023年度は,開発された新たなテストを924名の日本人大学生に対して実施し,その結果分析を行なった。結果を分析する上で,JACET8000に準拠し,問題項目を8つの頻度レベルに分類した。 語彙認知速度の測定結果に関しては,概ね,語彙頻度レベルが低くなるにしたがって,認知速度が低下していた。しかし,5000語レベルと6000語レベルの間と,7000語レベルと8000語レベルの間で認知速度の統計的有意差は認められなかった。 語彙サイズの特定に関しては,8000語レベルと7000語レベルで平均正解率の逆転が見られたが,その他のレベル間では,頻度の低下に伴い正解率も低下していた。 これらの結果は,本研究で開発した語彙サイズと語彙認知速度を同時に測定することに成功していることを示唆するものである。しかしながら,TOEICの結果を英語習熟度とみなし,語彙サイズ・語彙認知速度それぞれとの相関関係を算出したところ,統計的に有意ではあるが,相関関係は弱いものであった (語彙サイズとTOEICスコア:.37, 語彙認知速度とTOEICスコア:-.1)。 そのため,詳細な問題項目ごとの分析を行い,項目の改訂を行う必要性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度までの研究で,開発したテストの結果が,英語習熟度を反映しているとは言い切れない結果となった。この結果は,既に語彙サイズテストとして妥当性が確保されている問題項目を使用したにもかかわらず,予想外の結果であった。このため,問題項目の詳細な分析のみならず,語彙認知速度の測定が語彙サイズの測定に及ぼしている影響の調査を行う必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果は,本研究で開発したテストにおいて,「語彙認知速度の測定」という要因が,語彙サイズテストに及ぼす影響の大きさを調査する必要性を示唆していた。そのため,共通の被験者の,同じ問題項目で,語彙サイズ測定のみを行うテストと,語彙サイズと語彙認知速度の測定を同時に行うテストの両方の結果を比較する必要がある。 その上で,項目分析を行い,語彙認知速度の測定が特定の問題項目にのみ強い影響を与えているのか,また,問題項目全般に影響しているのか,を明らかにする。さらに,この検証結果を受け,問題項目の改訂を視野に入れ,新たな問題項目バンクを作成した上で,語彙サイズと語彙認知速度の関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
開発した語彙サイズ・語彙認知速度測定テストの結果が,予想と大きく異なり,その原因の追求とテストの改良のために研究の延長を申請することとしたため。
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Research Products
(5 results)