2021 Fiscal Year Research-status Report
『全国学力・学習状況調査』データ解析に基づく中学校英語教育改善に関する研究
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21K00784
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
斉田 智里 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (50400594)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大規模学力調査 / 英語力 / テスト項目分析 / 項目応答理論 / 学習指導要領 |
Outline of Annual Research Achievements |
・平成31年度『全国学力・学習状況調査』が悉皆調査として実施され、中学校調査では「英語」が初めて対象教科となった。本研究では、中学校英語の学力調査データの分析を通して、①中学生の英語習得状況の総合的な解明、②英語力に関係のある諸要因の解明(学習意欲、学習方法、学習環境、英語科指導方法、学校の環境等)、③英語力向上に効果のある中学校の特徴と中学英語の改善策、④調査設計の妥当性の検討、⑤教員養成課程・教員研修におけるアセスメント・リテラシー向上を目指したプログラムの開発と実践を目指す。 ・今年度は①と④の観点から、全回答データを用いて、英語テスト問題のIRT分析を行った。IRT適用の前提である一次元性が満たされていることを確認した後、2パラメタ・ロジスティック・モデルを用いて、全26項目の項目特性値(困難度、識別力)を推定、領域、構成概念、評価の観点、回答形式、モード(筆記か口述か)の別に項目特性値や項目特性曲線を比較検討した。 ・困難度平均値の比較から、聞くこと<読むこと<書くこと<話すこと、理解<表現、知識<言語使用、筆記<口述、選択式<短答式<記述式の順に困難度が高まっていること、困難度と識別力の散布図から、聞くことでは困難度と識別力の低い項目、話すことでは困難度が高く識別力の低い項目、読むことは困難度が低く識別力の高い項目、書くことでは困難度は中程度で識別力の高い項目、領域統合の問題では困難度も高いが識別力も高い項目が多いという特徴がみられること、テスト情報曲線から、受検者能力の平均値±1標準偏差の間で精度の高い測定が行われていたこと、などが明らかとなった。全体的には中学校学習指導要領外国語科が目標とする能力が幅広い困難度の項目でバランスよく測定されており、妥当性の高いテストといえる。全国学力・学習状況調査の英語問題でIRT適用可能性を示すこともできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果を学会誌論文としてまとめ、採択され公表にいたった。
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Strategy for Future Research Activity |
多値型IRTモデルを用いて、短答式や記述式問題の採点基準の妥当性を検討する。英語力に関係ある状況として、英語問題への無回答に着目をして、無回答の状況をうみだす諸要因の解明(学習意欲、学習方法、学習環境、英語科指導方法、学校の環境等)に取り組む。さらに、学校レベルに着目をし、小中連携を積極的に行っている学校の生徒にはどのような特徴がみられるかを実証データに基づいて検証し、教育改善の示唆を得る。
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Causes of Carryover |
学会の研究大会が全てオンラインとなり、参加費以外の旅費がかからなかった。大学院生の雇用も適任者がみつからず、採用にいたらなかった。次年度の旅費、資料整理のための大学院生の雇用、英語論文校閲のための謝金として使用する計画である。
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